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外資規制ネガティブリスト(第13次 RFINL)── 全項目

情報基準日:2026-08-26 / 分野:投資制度・経済特区・許認可

出典:官報所収の大統領令第113号 原本 PDF(20260413-EO-113-FRM.pdf、全7ページ)を実取得し、 macOS Vision フレームワークで OCR して全文を復元したもの(2026-08-26)。 List A は原本 p.3〜5、List B は p.6〜7。

本資料群は長らく「別表本体は官報にもE-Libraryにも含まれず、別添扱いで取得できない」と記録していたが、これは誤りだった。 同じPDFの3ページ目以降がそれである。2ページ目までしか見ていなかったことによる誤認。

OCR由来のため、固有名詞・数値は原本との照合が望ましい。OCR上の疑義は本文中に で示した。


1. 大統領令第113号の骨格

項目 内容
正式名 Executive Order No. 113 — Promulgating the Thirteenth (13th) Regular Foreign Investment Negative List
署名 2026年4月13日(マニラ市)
署名者 Ralph G. Recto、Acting Executive Secretary(大統領府)大統領の直筆署名欄ではない
記録局認証 Malacañang Records Office、Atty. Lovely Polentino-Nava(Director IV)/整理番号 PBBM012414
根拠 憲法第12条第10節RA 7042(1991年外国投資法、RA 8179・RA 11647 で改正)第8条
勧告機関 DEPDev(経済計画開発省) ── 旧NEDA。条文が既に新名称で書かれている

発効日 ── 単一の日付で断定してはいけない

第5節の原文はこうである。

"This Order shall take effect fifteen (15) days after its publication in the Official Gazette or in any newspaper of general circulation."

  EO本文に固定日付は存在しない。「公告から15日後」としか書かれていない。
起算日の候補 根拠
2026-04-13 署名日(本文末尾)
2026-04-15 記録局の認証印
2026-04-16 官報サイトへの掲載
2026-04-17 本資料群が従前採用していた「公示日」

本資料群は17ファイルで「発効 2026-05-02」(=4/17+15日)を使っている。 4/17が公告日として正しければ 5/2 で合うが、掲載が 4/16 なら 5/1 になる。確定するまで両論として扱うこと。

第2節 ── 改正の頻度が List A と List B で違う

改正の可否
List A 個別法の改正を反映するため、いつでも改正できる
List B 2年に1回を超えて改正できない(RA 7042 第8条)

2. List A ── 憲法および個別法による外資規制(全25項目)

外資出資 0%(10項目)

# 対象 根拠
1 マスメディア(録音・レコーディングを除く。インターネット事業も除く) 憲法第16条第11節(1)/1994-05-05 大統領メモ/DOJ意見40号(1998年)
2 建築士業の法人形態での実施 RA 9266 第37条
3 協同組合(元・生来のフィリピン国民による投資を除く) RA 6938 第3章第26条/RA 9520 第2章第10条
4 民間警備会社 RA 11917(民間警備業法)第4条
5 小規模鉱業 RA 7076(1991年人民小規模鉱業法)第3条
6 群島水域・領海・EEZ における海洋資源の利用、および河川・湖沼・湾・潟の天然資源の小規模利用 憲法第12条第2節
7 闘鶏場の所有・運営・管理 PD 449(1974年闘鶏法)第5節(a)
8 核兵器の製造・修理・貯蔵・配布 憲法第2条第8節
9 生物・化学・放射性兵器および対人地雷の製造・修理・貯蔵・配布 条約・国際規範
10 爆竹その他の花火類の製造・小売 RA 7183 第5条

①の「インターネット事業」の意味に注意。 DOJ意見40号は、メッセージを作る者ではなく、単に伝送する担い手=インターネット接続事業者を指す語として使っている。コンテンツを作るネットメディアは、この除外に入らない可能性がある。

外資出資 25%まで(2項目)

# 対象 根拠
11 民間の人材斡旋(国内・海外いずれも) 労働法典(PD 442)第27条(改正・採番替え後)
12 防衛関連構造物の建設契約 CA 541 第1条・第2条(b)

11は分野08(OFW)に直結する。海外人材派遣業への外資は25%が上限である。

外資出資 30%まで(1項目)

# 対象 根拠
13 広告業 憲法第16条第11節(2)

外資出資 40%まで(11項目:#14〜24)

# 対象 要点
14 小売業のうち払込資本 2,500万ペソ未満のもの 2,500万ペソ以上なら外資100%が可能(RA 11595 第2条)。
条件:①外国小売業者の払込資本 2,500万ペソ以上 ②相互主義(本国がフィリピン人小売業者の参入を禁じていないこと)③2店舗以上なら1店舗あたり 1,000万ペソ以上の投資
15 天然資源の探査・開発・利用(自然水源からの取水を含む) 2つの例外がある。
(a) 大統領との FTAA(鉱物・石油・その他鉱油の大規模開発)
(b) 再生可能エネルギー(太陽光・風力・水力・海洋/潮汐)は外資100%可
 └ DOJ意見21号(2022年)DOE省令 DC2022-11-0034
16 私有地の所有 例外=フィリピン国籍を失った生来の国民で契約能力を有する者(憲法第12条第8節、RA 8179 第5条)
17 公益事業(public utility)の運営 RA 11659 第4条により、公益事業は6類型に限定された(下記)
18 教育機関 除外=宗教団体・伝道団体が設立したもの、外国外交官とその家族・外国人一時滞在者向けのもの、正規教育制度外の短期高度技能開発(RA 11448 第9条、BP 232 第20節)
19 コメ・トウモロコシの栽培・生産・精米・加工・取引(小売を除く) 30年の分割譲渡義務つきで外資100%可(PD 194 第5条、NFA理事会決議193号)── 実際に操業開始から30年以内に60%以上をフィリピン国民に譲渡する
20 政府調達(物品) RA 12009(新政府調達法)IRR 第52.4.1.1条
21 政府調達(インフラ事業) フィリピン企業が十分に保有しない技術を要する場合は 75%まで可(同IRR 第52.4.2.1条(e))
22 政府調達(コンサルティング) 同IRR 第52.4.3.1条。フィリピン人коンサルタントに十分な専門性が無いと調達機関の長が判断した場合は外国人を雇用できる
23 商業漁船の operation RA 8550(1998年漁業法、RA 10654 で改正)第27条
24 コンドミニアム住戸の所有 RA 4726(コンドミニアム法)第5条

#17 公益事業の定義 ── RA 11659 が範囲を6つに絞った

  以下の6つだけが「public utility」である(CA 146 第13条、RA 11659 第4条による改正)

    ① 電力の配電          ② 電力の送電
    ③ 石油・石油製品のパイプライン輸送
    ④ 上水道パイプライン・下水道パイプライン(汚水処理を含む)
    ⑤ 海港              ⑥ 公共旅客車両(PUV)

  これ以外は、法律で別途定めない限り公益事業ではない。
  つまり 空港・鉄道・電気通信・発電 は「公益事業」から外れ、40%規制の対象外になった。

加えて憲法第12条第11節の制約が残る:外国投資家の経営機関への参加は出資比率まで、かつ執行役員・経営役員は全員フィリピン国民でなければならない。

外資出資 100%まで(1項目)

# 対象 根拠
25 電気通信の運営・管理 ── 相手国がフィリピン国民に相互主義を認める場合は100%相互主義が無い場合は50%まで RA 11659 第25条、同IRR 第9規則第45条

3. List B ── 安全・防衛・健康・道徳・中小企業保護のための規制(全7項目)

すべて外資40%が上限。

# 対象 要点
1 PNP(国家警察)の許可を要する物品の製造・修理・保管・配布 銃器(拳銃〜散弾銃)・部品・弾薬・製造用具/火薬/ダイナマイト/発破用品/爆薬原料11種(塩素酸カリウム・ナトリウム、硝酸アンモニウム・カリウム・ナトリウム・バリウム・銅(II)・鉛(II)・カルシウム・亜酸化銅、硝酸、ニトロセルロース、過塩素酸アンモニウム・カリウム・ナトリウム、ジニトロセルロース、グリセロール、無定形リン、過酸化水素、硝酸ストロンチウム粉末、トルエン)/照準望遠鏡・スナイパースコープ等
ただしPNP長官が個別に非フィリピン国民へ許可することができ、その場合の出資比率は許可書に明記される
2 軍需品(materiel)の開発・生産・製造・組立・整備・運用(国内企業による) RA 12024(自立防衛態勢再活性化法)。materiel=軍事技術・兵器システム・武器・弾薬・戦闘服・装甲・車両等(同法第3条(g))
3 危険薬物の製造・流通(法律の授権によるもの) RA 9165 第5条・第8条 原文OCRは "Comprehensive Dangerous Drugs Act of 2022" と読めるが、RA 9165 は2002年法。原本かOCRのいずれかの誤り
4 サウナ・スチームバス、マッサージ院その他 ── 公衆衛生・道徳上の risk により規制されるもの RA 7042(改正後)
5 あらゆる形態の賭博 ── ただし PAGCOR との投資契約に基づくものを除く PD 1869(RA 9487 で改正)
6 払込資本が US$200,000 未満の零細・小規模の国内市場向け企業 RA 7042(改正後)
7 払込資本が US$100,000 未満の零細・小規模の国内市場向け企業のうち、次のいずれかに該当するもの (i) DOSTが認定する先端技術を用いる / (ii) DTI・DICT・DOST がスタートアップまたはスタートアップ支援者として推薦(RA 11337 革新的スタートアップ法)/ (iii) 直接雇用の過半がフィリピン人で、かつその人数が15人を下回らない

#6と#7が「外資が国内市場向け事業をやるための最低払込資本」の実体である。 原則 US$200,000。先端技術・スタートアップ認定・フィリピン人15人以上雇用のいずれかを満たせば US$100,000 に下がる。 雇用要件は RA 11647 により「50人以上」から「15人以上」に緩和済み(本資料群「会社設立と起業の実務」§2 参照)。


4. 日本の読者にとって重要な点

論点 実際
「フィリピンは何でも60/40」 誤り。再生可能エネルギーは100%、電気通信は相互主義があれば100%、小売は2,500万ペソ以上なら100%、コメ・トウモロコシは30年分割譲渡つきで100%可
「公益事業だから40%」 2022年に定義が6類型に絞られた。空港・鉄道・電気通信・発電は公益事業ではない
不動産 土地の所有は不可。コンドミニアム住戸は40%まで(=1棟の40%まで外国人が保有できる)
人材派遣 25%が上限。日本の送り出し・受け入れ事業を考えるうえで決定的
小さく始める場合 US$200,000(先端技術・スタートアップ・15人雇用のいずれかで US$100,000)
輸出企業は別枠 このリストは「国内市場向け(domestic market)企業」への規制。輸出比率60%以上の企業には払込資本の下限が適用されない(RA 7042 第8条)

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