フィリピンの食品加工と飲料
0. 最初に押さえる3点
- 2026年は「原材料・燃料コスト危機の年」。中東紛争(2026年2月28日〜)による原油高が輸送費・包装費・電力費を押し上げ、7月の消費者物価上昇率は6.2%(PSA公表値、Rappler 2026-08-05報道)。BSP目標の2〜4%を大きく上回る。食品飲料各社の2026年上期決算は「増収・利益横ばい〜減益」でほぼ揃った。
- 上場大手6社の性格はまったく違う。SMFB(ビール+食肉+飼料)、URC(スナック・飲料+砂糖・小麦粉)、Monde Nissin(即席麺+英国代替肉)、Century Pacific(ツナ缶・OEM輸出)、Del Monte Pacific(パイナップル、米国子会社破綻の後始末中)、Jollibee(外食)。同じ「食品株」で括ると読み違える。
- 一次産品(ココナッツ・バナナ・砂糖・パイナップル)は、それぞれ別々の理由で2026年に揺れている。ココナッツは価格急騰で輸出額が過去最高、バナナは中東市場の消失、砂糖は輸入禁止下での国内価格暴落。
1. 2026年のマクロ環境
1.1 中東紛争の影響
| 項目 | 内容 | 年・出典 |
|---|---|---|
| インフレ率(7月) | 6.2%(6月は6.4%) | 2026年、PSA/Rappler報道 |
| 食品・非アルコール飲料 | 5.2%(横ばい) | 2026年7月、PSA/Rappler |
| コメ | 17.1%(2024年7月以来の高さ、全体を1.2ポイント押し上げ) | 2026年7月、PSA/Rappler |
| コア(変動除く) | 4.2%(前月4.4%) | 2026年7月、PSA/Rappler |
| 電気 | 17%(前月12.3%、2023年3月以来の速さ) | 2026年7月、PSA/Rappler |
| 1〜7月平均 | 5.0% | 2026年、PSA/Rappler |
| 4月のピーク | 7.2%(見出しベース) | 2026年、Rappler 2026-05-05 |
- 世界銀行は2026年のフィリピン成長率を3.7%と見込む(Manila Bulletin 2026-06-12報道)。IMF・ADBも2026年見通しを引き下げ(Daily Tribune 2026-07-10)。
- ADBは最大17.5億ドルの支援枠を提示(BusinessWorld 2026-05-15)、政府は15億ドルの借入を検討(同 2026-06-23)。
- PIDS(フィリピン開発研究所)は、燃料高で最大310万人が貧困線を下回るリスクと試算(Inquirer 2026-04-17報道)。
- DTIは輸出企業向けに30億ペソの支援基金を設置(2026年5月)。
- ペソ安も進行し、1ドル=64.50ペソまでの下落シナリオが報じられた(BusinessWorld 2026-06-03)。
BusinessWorldが2026年5月8日に出した「Oil shock drags Philippine GDP growth to 2.8%」の見出しは、2026年第1四半期の実質GDP成長率を指す。(2026-08-25 検証で確定。初稿は「四半期か通年見通しか未確認」としていた。出典:分野資料「統計とデータソースの使い方」の横断確定値=汚職とガバナンス/建設産業/財閥・企業グループ/主要人物名鑑・経済文化/金融・税務・株式市場の5本で一致)
2026年のGDP成長率(実績):Q1 2.8%/Q2 2.3%/上半期 2.6%。注 本節に並ぶ世界銀行3.7%・ADB/IMFの引き下げ見通しは、いずれも上半期実績が出る前の「予測値」である。上半期実績2.6%はそれらをさらに下回っており、予測値を2026年の着地見込みとして引用しないこと。Q2は固定投資が13.7%減(5年超で最大の落ち込み)で、治水事業汚職スキャンダルによる公共投資の停滞も効いている(同上)。
1.2 企業側のコメント(原典)
- SMC(サンミゲル本体)は2026年上期の説明で、中東の地政学的緊張が「原油価格・輸入プレミアム・海上運賃・その他の営業費用を押し上げた」と明記(San Miguel Corporation プレスリリース、2026-08-17)。
- URCは投資家説明資料(2026-08-06)で「中東紛争による混乱にもかかわらず」と明記し、原油高が輸送・荷役費を押し上げたと説明。2026年通期見通しにも「中東紛争の緩和策は用意済み。利益は消費需要の底堅さと原油価格の変動次第」と記載。
- Del Monte Pacific は年度報告(2026-06-25)で「US-Iran war」により肥料など重要投入財の供給安定化が課題と明記。
2. 主要企業の2025〜2026年業績
2.1 San Miguel Food and Beverage(SMFB)
SMC傘下の食品飲料統括会社。ビール(San Miguel Brewery)、蒸留酒(Ginebra San Miguel)、食品(San Miguel Foods:鶏肉・加工肉・飼料・小麦粉・乳製品)の3本柱。
2025年通期(出典:San Miguel Corporation プレスリリース 2026-03-10)
| 項目 | 金額 | 前年比 |
|---|---|---|
| 連結売上 | 4,191億ペソ | +5% |
| 営業利益 | 610億ペソ | +9% |
| EBITDA | 806億ペソ(マージン19%) | +10% |
| 純利益 | 463億ペソ | +13% |
| 食品事業 売上 | 1,963億ペソ/営業利益173億/純利益116億 | +6%/+30%/+38% |
| ビール事業 売上(連結) | 1,554億ペソ | — |
| うち国内ビール | 1,391億ペソ/営業利益329億/純利益265億 | — |
| うち海外ビール | 2億8,500万ドル | +3% |
| 蒸留酒 売上 | 674億ペソ/営業利益104億/純利益87億 | +8%/+21%/+20% |
2026年上期(出典:San Miguel Corporation プレスリリース 2026-08-05)
| 項目 | 金額 | 前年比 |
|---|---|---|
| 連結売上 | 2,053億ペソ | +2% |
| EBITDA | 388億ペソ(19%) | −1% |
| 営業利益 | 288億ペソ | −4% |
| 純利益 | 221億ペソ | −4% |
| 食品 | 993億ペソ/営業利益88億/純利益64億 | +5%/+2%/+8% |
| ビール | 737億ペソ/営業利益144億/純利益114億 | −1%/−11%/−12% |
| 国内ビール | 660億ペソ(横ばい) | — |
| 海外ビール | 1億2,850万ドル(中東の海運混乱で減) | 減 |
| 蒸留酒 | 323億ペソ/営業利益54億/純利益44億 | 横ばい/+8%/+3% |
構図が2025年と2026年で逆転した。2025年は食品が牽引(純利益+38%)、2026年上期はビールが二桁減益。ビール=可処分所得依存、食品=生活必需という差が、インフレ局面ではっきり出た。
親会社SMCは2026年上期に売上9,641億ペソ(+34%)、コア純利益542億ペソ(+48%)だが、報告純利益は前年の資産売却益の反動で377億ペソ(−44%)。2025年通期はコア純利益796億ペソ(+52%)(San Miguel Corporation、2026-03-16)。
ビール市場シェアと資本関係について 注 - San Miguel Brewery(SMB)は2007年10月1日にSMCからスピンオフ、2008年5月にPSE上場、2013年に自主上場廃止。現在は非上場のため詳細開示が乏しい。ブランドは San Miguel Pale Pilsen、Red Horse、San Mig Light、Gold Eagle、San Mig Zero など14。 - SMBの株主構成:キリンホールディングス48.3%/San Miguel Food and Beverage 51.7%。 キリンは2009年に43.25%を589億3,000万ペソ(約12億ドル)で取得し、公開買付で48%台へ引き上げた。注2025〜2026年に持分売却があったという確認情報はない。(2026-08-25 検証で補記。出典:分野資料「財閥・企業グループ」7章)日系企業の関与としては最大級であり、SMFBを「純フィリピン企業」として書くと誤る。 - 「国内シェア90%以上」という数字が日本語記事で流通しているが、本調査では一次情報での裏取りができなかった=未確認。InsiderPH(2025-10-06)は「数量・売上ともに市場シェアで優位(dominance)」と表現するにとどまる。指標(数量ベースか金額ベースか、ビールのみか RTD 含むか)を明示しない順位表記は避けるべき。 - 注 (2026-08-25 検証で併記)分野資料「食文化」§は「SMBの国内ビール市場シェアは90%超」を付きで記載しているが、その出所を「2023年時点の各種報道」と明示し、「2025年の確定シェアは未確認」と留保している。資料群としての結論は「2023年時点の報道ベースで90%超。2025〜2026年の確定シェアは未確認」。どちらの資料も数字を消さず、必ず時点と留保を添えること。 - 対抗はAsia Brewery(LT Group傘下)。San Miguel Pale Pilsen は2026年3月時点で135年(1890年創業。SMCが最古の醸造所に博物館を開設)。Red Horse は国内シェア6.9%/輸出向け8%(分野資料「食文化」)。注「世界一の強ビール」はGlobalData 2024年の販売数量ベースの主張で、Brand Financeのブランド力世界2位とは別指標。
2.2 Universal Robina Corporation(URC)
JG Summit(ゴコンウェイ財閥)傘下。Jack 'n Jill、C2、Great Taste、Nissin(合弁)、Munchy's(マレーシア)などのブランド事業に加え、砂糖・再生可能エネルギー(SURE)、小麦粉、動物栄養(ANH)を持つ。
2025年通期(出典:InsiderPH 2026-03-13、Inquirer 2026-03-14) - 売上 1,680億ペソ(+4%)/純利益 約110億ペソ(−4%) - ブランド消費財(BCF)1,150億ペソ(+5%):うちフィリピン790億(+5%)、海外360億(+4%) - 農産・コモディティ 530億ペソ(+2%) - 配当 1株2.10ペソ(+5%) - CEO Irwin Lee は「異常に高いコーヒー投入コストが長引いた」と説明
2026年上期(出典:URC Q2 CY2026 投資家説明資料、2026-08-06)
| セグメント | 上期売上 | 前年比 | 上期EBIT | 前年比 |
|---|---|---|---|---|
| 連結 | 893億ペソ | +4% | 94億ペソ | 横ばい |
| BCFフィリピン | 421億ペソ | +6% | 51億ペソ | +1% |
| BCF海外 | 195億ペソ | 定常為替ベースで微減 | 29億ペソ | EBITマージン15.0%(+75bp) |
| 動物栄養(ANH) | 77億ペソ | +21% | 9億ペソ | +10% |
| コモディティ(砂糖・小麦粉) | 201億ペソ | −8% | 22億ペソ | −19% |
- コア純利益(親会社帰属)上期 67億ペソ(+3%)、Q2は29億ペソ(+10%)
- フィリピンの主要7カテゴリー(スナック、キャンディ、RTD茶、ビスケット、麺、コーヒー、チョコレート)すべてで市場を上回る成長と自社開示
- 砂糖(SURE)はQ2売上−15%、小麦粉は+8%。砂糖安がURCの足を引っ張っている(後述の砂糖章と直結)
- 2026年8月、バタンガス州に「Factory of the Future」を開設(Daily Tribune 2026-08-16)
- NURC(Nissin-Universal Robina Corporation)の支配権が日清食品へ移った。 Forbes(2026-03-14)が「ゴコンウェイ家が即席麺合弁の支配株を日清食品に譲渡」と報じた件は、資料群内で以下まで確定している:2026年3月13日、URCがNURC株21%を売却し、日清食品アジアの持分が49%→70%(URCは30%)へ。取締役会承認済、2026年12月までにクロージング、PCC(競争委員会)承認が条件。1994年の設立時はURC 51%/日清49%だった。(2026-08-25 検証で「取引条件は未確認」から更新。出典:分野資料「財閥・企業グループ」7章・8章/6-6表)
- NURCはカップ麺でシェア49%だが、即席麺全体ではMonde Nissinの「Lucky Me!」が首位(同)。注「カップ麺のシェア」と「即席麺全体のシェア」を取り違えると首位企業が入れ替わるので、指標を必ず書くこと。
- 注 クロージング未了のため、2026年8月時点でURCの連結範囲がどう変わるかは確定していない。URCの2026年通期業績を語るときは、この持分変動の反映時期を確認すること。
2.3 Monde Nissin
Lucky Me!(即席麺)、SkyFlakes、M.Y. San、Nissin ウエハースなどのフィリピン国内事業(APAC BFB)と、英国の代替肉 Quorn(Monde Nissin Singapore Pte Ltd=MNSPL傘下)の二本立て。
2026年上期(出典:Monde Nissin 1H26 プレスリリース、2026-08-12)
| 項目 | 金額 | 前年比 |
|---|---|---|
| 連結売上 | 443億ペソ | +6.8% |
| コア純利益(株主帰属) | 55億ペソ(過去最高) | +16.1% |
| 報告純利益 | 58億ペソ | +31.2% |
| APAC BFB 売上 | 369億ペソ(うち国内350億、+6.4%) | +5.9% |
| APAC BFB 粗利率 | 36.0% | +102bp |
| APAC BFB コアEBITDA | 80億ペソ | +2.3% |
| Quorn(Protein)売上 | 定常為替 +2.2%/報告 +12.0% | — |
| Quorn 粗利 | 23億ペソ、粗利率31.0% | +44.0%/+688bp |
| Quorn コアEBITDA | 5億7,400万ペソ | 黒字 |
- 財務:現金144億ペソ、有利子負債21億ペソ、ネットD/E 0.10、営業CF 76億ペソ
- Quorn買収に伴う減損:MNSPL の累計減損額は 2億5,900万英ポンド(2025年12月31日時点、Monde Nissin開示)。2021年のIPO以降、代替肉事業は繰り返し減損を計上してきた。2025年2月にも追加減損の観測が報じられた(just-food 2025-02-20)
- 2026年上期はQuornがコアEBITDAベースで黒字に転じ、粗利率が688bp改善。英国小売での回復が進む一方、業務用(foodservice)は「さらに悪化する可能性」との専門メディア報道もある(AgFunderNews 2026-08-17)
- 2025年通期はコア純利益が約97億ペソでわずかに減少、報告純利益は86億ペソに増加 注コアと報告で方向が逆なので、どちらの数字を引用しているか要確認
- 設備投資:2026年に約75.3億ペソ、パンパンガ州マバラカットに50億ペソのビスケット新工場(Manila Standard 2026-04-06、SunStar 2026-06-28)
2.4 Century Pacific Food(CNPF)
Century Tuna、555、Argentina、Angel、Birch Tree、coco(ココナッツ製品)などのブランド事業と、ツナ・ココナッツのOEM輸出(白ラベル)が柱。
| 項目 | 2025年通期 | 2026年上期 |
|---|---|---|
| 売上 | 833億ペソ(+10%) | 458億ペソ(+15%) |
| 純利益 | 71億ペソ(+11%) | 41億ペソ(+6%) |
| コア純利益 | — | +10%(地震引当を除く) |
| 粗利率 | 25.1%(−100bp) | 25.9%(+20bp) |
| ブランド事業 | +13% | +13% |
| OEM輸出 | +2% | +26% |
出典:Century Pacific Food プレスリリース 2026-04-13/2026-08-06
- 2026年6月8日のミンダナオ地震(M7.8)でジェネラル・サントス(General Santos)の主力工場が停止。CNPFは死亡2名を報告(Inquirer 2026-06-08)。(2026-08-25 検証で発生日・規模を補記。出典:分野資料「ミンダナオ地方」§13=「M7.8は過去50年のフィリピンで最大級」/同§10でミンダナオの電気料金上昇要因としても計上)。Alliance Select も操業停止(BusinessWorld 2026-06-10)。7月初旬に「ほぼ全面稼働」に復帰(同 2026-07-02)。地震に伴う一過性の引当が上期の頭打ちの主因で、保険求償が進行中
- 2026年の設備投資は約80億ペソと通常年の約2倍
- 米国の対比関税をめぐり、フィリピン産食品の適用除外を要請(Manila Bulletin 2026-06-24、Undercurrent News 2026-06-30)
- CFO Chad Manapat:「上期の事業環境は決して平坦ではなかった。燃料価格が急騰し、消費者を圧迫すると同時に当社のコストも押し上げた」(Daily Tribune 2026-08-06)
- 自社主張として「フィリピンの10世帯中9世帯が当社製品を使用」(同社2025年通期リリース)これは自社推計であり政府統計ではない
2.5 Del Monte Pacific(DMPL)/ Del Monte Philippines
シンガポール・フィリピン両上場。4月末決算。ミンダナオ島ブキドノン(Bukidnon)のパイナップル農園を核に、フィリピン国内ブランド事業と生鮮・加工パイナップルの輸出を行う。
FY2026(2025年5月〜2026年4月、出典:DMPL 4Q FY2026 MD&A、2026-06-25)
| 項目 | FY2026 | FY2025 | 増減 |
|---|---|---|---|
| 売上 | 8億9,613万ドル | 7億8,946万ドル | +13.5% |
| 粗利率 | 33.2% | 28.4% | +484bp |
| EBITDA | 1億8,111万ドル | 1億4,345万ドル | +26.2% |
| 営業利益 | 1億6,153万ドル | 1億4,667万ドル | +10.1% |
| 純利益 | 4,842万ドル | △7億9,638万ドル | 黒字転換 |
| フィリピン市場売上 | 3億9,780万ドル | — | +7.5%(ドル建て) |
| 国際売上 | 4億1,700万ドル | — | +15.6% |
- 米国子会社の破綻が最大の論点。Del Monte Foods Holdings Ltd(DMFHL)は2025年にChapter 11を申請。DMPLはFY2025に7億350万ドルを全額減損し、2025年5月1日付で非連結化(これにより連結負債が約15億ドル減少)。2026年5月18日に米破産裁判所が再建計画を認可、一部少数貸し手が控訴中
- その結果、資本欠損(net capital deficit)5億8,990万ドル、流動負債が流動資産を7億8,720万ドル上回る状態が続く。SGXが継続企業の前提について照会(2026年7月)。ネット負債は9億7,700万ドル(−5.5%)、ネット負債/EBITDA 5.4倍(前年7.2倍)
- 北アジアの生鮮パイナップルでシェア55%(前年比+3ポイント)(同社開示、FY2026)。日本では生鮮パイナップル売上が+22.6%、S&W Deluxe Pineapple が西友(Seiyu)全243店舗に導入。中国では「Good me」(1万4,500店超の果実茶チェーン)から「Supplier of the Year」を受賞
- 冷凍パイナップル +12.1%(McDonald's中東・欧州、Burger King スペイン、KFC欧州、セブン-イレブン日本などに供給)。NFCパイナップルジュース +71%
- Del Monte Philippines は2026年1月に創業100周年
- 見通し:FY2027も黒字を見込むが「US-Iran war の影響で変動しうる」。肥料等の投入財確保、エルニーニョ対策、そしてDel Monte Philippines を軸とした債務再編(integrated restructuring framework)が最優先課題
2.6 Jollibee Foods Corporation(JFC)
「ジョリビーが国内でマクドナルドに勝った」はフィリピン外食を語る際の定番だが、シェアの具体的数値は本調査では未確認。以下は同社の一次開示に基づく事実のみ。
2026年第2四半期(出典:Jollibee Group プレスリリース、2026-08-18)
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| システムワイドセールス成長 | +14.2%(フィリピン +5.7%、海外 +25.4%) |
| 売上 | 595億ペソ(+10.7%) |
| 株主帰属純利益 | 34億ペソ(四半期として過去最高、+5.7%) |
| EPS | 2.949ペソ(+5.8%) |
| 既存店売上(SSSG) | +2.7%(国内+1.3%、海外+4.4%) |
| Q2粗利率 / 営業利益率 | 18.5% / 7.2%(Q1は16.5% / 5.2%) |
店舗網(2026年上期末):世界計 10,767店(+6.4%)
| 地域・ブランド | 店舗数 |
|---|---|
| フィリピン | 3,516 |
| 海外 計 | 7,251 |
| Compose Coffee(韓国) | 3,098 |
| The Coffee Bean & Tea Leaf | 1,097 |
| Highlands Coffee(ベトナム) | 1,062 |
| 中国 | 602 |
| EMEAA | 455 |
| Milksha | 358 |
| 北米 | 340 |
| Shabu All Day | 156 |
| Tim Ho Wan | 83 |
- 上期の新規出店461店(うち約70%がフランチャイズ)、閉店207店
- (2026-08-25 検証で相互参照を追記)分野資料「小売と外食」§8-1が「未確認」としている「急成長のチキンチェーンが207店を閉鎖」(AOL等、2026年8月14日)という報道は、この JFC 全社の上期閉店数207店と数値が一致する。注 JFCグループ全体の閉店数を単一ブランドの話として報じた可能性が高いが、記事原文に到達できず特定は未確認。「ジョリビーが207店閉鎖」と書かないこと。
- 注Q2は過去最高益だが、上期累計の純利益は48億7,000万ペソで前年比−13.3%(Q1が15億ペソ・−38.8%と大きく落ちたため)。「過去最高」と「減益」が同時に成立している点に注意。上期の金額は分野資料「財閥・企業グループ」10章の2026年上半期一覧(48.7億ペソ/−13.3%)と一致(2026-08-25 検証で相互確認・金額を補記)
- 注注 (2026-08-25 検証)2026年通期の設備投資ガイダンスは資料間で食い違う。 本稿は130〜150億ペソ(Manila Standard 2026-08-11)、分野資料「小売と外食」§9-1は「130億ペソへ削減」(Manila Bulletin 2026-08-11)。同日付の別媒体であり、レンジで報じた社と下限のみを見出しにした社の差である可能性が高いが、JFCの開示原文に到達できず確定できない=未確認。両方を消さずに併記する。「出所により数値が異なる」ものとして、社内資料では「130億ペソ台(レンジ報道は130〜150億ペソ)」と幅で書くのが安全
- 2026年通期目標を8月に下方修正(Manila Standard 2026-08-11)
| 指標 | 従来目標 | 修正後 |
|---|---|---|
| 新規出店 | 1,200〜1,300店 | 1,000〜1,100店 |
| 設備投資 | 130〜160億ペソ | 注130〜150億ペソ/130億ペソ(下記) |
| 既存店成長 | 4〜6% | 3〜4% |
| 営業利益成長 | 15〜18% | 10〜15% |
- Tim Ho Wan:北米事業のWDIコーポレーション持分30%を約505万ドルで取得、日本事業の自社持分30%を約1億6,610万円でWDIに売却(2026-08-18発表、Q3完了予定)
- 国際部門の米国上場計画を2026年1月に公表し株価急騰(Fortune 2026-01-07)。その後、香港上場も検討との報道(The Business Times 2026-06-05)、CFOは2027年の上場を示唆(同 2026-01-14)
2.7 Dole 注
- ミンダナオのパイナップル(Dolefil=Dole Philippines、南コタバト州)とバナナの大手だが、2025〜2026年のフィリピン事業に関する具体的な業績・投資の一次情報は本調査では取得できず=未確認。Dole plc はアイルランド籍・NYSE上場で、フィリピン単独のセグメント開示は行っていない。
- 過去の投資としては、2022年にラナオ・デル・スル州で3億600万ペソのパイナップル工場を稼働(FreshPlaza 2022-02-14)などが確認できる。
3. 一次産品
3.1 ココナッツ
2025年は輸出額が過去最高(出典:Philippine Coconut Authority/BusinessMirror 2026-07-22)
| 項目 | 2024年 | 2025年 | 増減 |
|---|---|---|---|
| ココナッツ関連輸出額 合計 | 26億6,000万ドル | 35億7,000万ドル | 過去最高 |
| うちココナッツ油 | — | 28億7,000万ドル | +29.4% |
| ココナッツ油の平均価格 | 1,519ドル/MT | 2,480ドル/MT | +63.27% |
額の伸びの大半は「価格」による。生産量が伸びたわけではない点が重要。PCAは2026年も2025年を上回ると見込む(PCA首席補佐官 Joseph Cezar Deligero)。
「世界最大の輸出国」という主張の検証 - InsiderPH(2025-06-20、PCAおよび農業省の説明に基づく報道)は、「フィリピンは依然として世界最大のココナッツ輸出国だが、生産量では現在インドネシアに次ぐ2位」と整理している。 - インドネシア 1,713万MT / フィリピン 1,477万MT 注(2026-08-25 検証で注記)この2つの生産量には対象年が付されていない。InsiderPH記事はPCA・農業省の説明を引いているが基準年を明示しておらず、FAO等の原統計に到達できなかった=年次未確認。「インドネシア1位・フィリピン2位」という順序は複数資料で一貫しているが、トン数を引用するときは必ず年を確認すること - 注つまり、「輸出」と「生産」で順位が異なる。日本語記事で「世界一のココナッツ生産国」と書かれていたら古いか誤り。 - 注さらに「輸出」も、ココナッツ油なのか、ココナッツ製品全体(油+乾燥ココナッツ+ココナッツウォーター等)なのかで結論が変わりうる。指標を明示しない最上級表現は使わないこと。 - 政府は奪還を目指しており、2026年の植栽目標を当初2,500万本から5,000万本へ倍増(農業長官 Francisco P. Tiu Laurel Jr.、PCA理事会議長)。2023〜2028年で累計1億本。既存樹は約3億4,000万本。2025年に約18億ペソの施肥事業。
2026年の論点 - エルニーニョ:2024年の乾期で生産性が約20%低下した実績。PCAは太陽光ドリップ灌漑と総合的病害虫管理で緩和を図る - バイオディーゼル混合義務の停止案にPCAが強く反対(2026年3月)。ココナッツ油の国内需要に直結するため、業界にとっては死活問題 - PCAがコプラ(copra)価格の規制権限を要求(Philstar 2026-07-22)。価格高騰が加工業者を圧迫している裏返し - 三井物産と、収量向上のためのナノテクノロジー圃場試験(BusinessWorld 2026-08-03) - 注ココナッツウォーターについては、本調査では2025〜2026年の輸出統計・企業別シェアの一次情報を取得できず=未確認。CNPFなどが「coco」ブランドで参入しているのは確認済み。
3.2 バナナ
2025年実績(出典:Pilipino Banana Growers and Exporters Association=PBGEA/OneNews.PH 2026-03-23)
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 総輸出量 | 304万MT(前年比+30%) |
| 中東向け輸出額 | 1億9,300万ドル(総輸出額の12%) |
| うちイラン | 9,752万ドル(6%) |
| うちGCC諸国+イラク | 9,550万ドル |
| イラン向け数量 | 242,877.58MT(総量の8%) |
2026年の最大のショックは中東市場の消失。PBGEA はマルコス大統領宛の書簡で「戦争が激化すれば2億ドルの収入を失う可能性」と警告。専務理事 Stephen Antig は「中東市場の見通しに楽観的だった。出荷が伸び始めた矢先に戦争が起きた」と述べている(OneNews.PH 2026-03-23)。業界は日本・韓国への振り替えを模索しているが、両市場は既に飽和との指摘(Philstar 2026-03-26)。
パナマ病(Fusarium 萎凋病 TR4) - 農業省は2025年11月に対策を強化し、輸出振興策の焦点を「TR4の封じ込めと市場アクセス」に置くと表明(BusinessWorld 2025-11-03、PNA 2025-11-03) - 2026年3月にはダバオでAIドローンによる生産支援の実証(SunStar 2026-03-31)、2026年7月にも農業省が病害対策の強化を表明(Philstar 2026-07-07) - 注世界順位の報道が食い違っている。BusinessMirror(2025-07-21)は「2024年のバナナ輸出で世界3位」、Philstar(2025-01-15)は「2024年に世界4位に転落」と報じた。どちらも見出しベースであり、数量か金額か、集計機関がどこかが確認できていない。順位を書く場合は必ず指標と出典を添えること。 - (2026-08-25 検証で併記。出典:分野資料「ミンダナオ地方」§8)同資料は「2025年の輸出は約300万トンで前年比+30%、エクアドルに次ぐ世界2位に回復(PBGEA)」とする。指標は輸出数量。つまり「2024年=3位または4位(指標不明)」→「2025年=数量ベースで2位」という時系列であり、年と指標が違う数字が並存しているだけで矛盾ではない。注 ただし「2位」も出所はPBGEA(業界団体)であり、FAO等の公式集計での裏は取れていない(未確認)。年・指標・集計機関の3点を書かずに順位を引かないこと。 - 中国市場では競争力が低下しトップ供給国の座を失ったとの報道(BusinessWorld 2025-03-04) - 具体的な水準:中国のバナナ輸入に占めるフィリピン産のシェアは2017年の70% → 2024年に27.5%へ急落し、ベトナムに首位を奪われた。(2026-08-25 検証で補記。出典:分野資料「ミンダナオ地方」§8)
日本向けシェアについて 注 - 日本の生鮮バナナ輸入でフィリピンが最大の供給国という理解は広く流通しているが、本調査では日本側統計(財務省貿易統計・農水省)およびフィリピン側統計いずれについても一次確認ができなかった=未確認。 - 確認できたのは、業界が日本向け関税の引き下げを求めて交渉していること(FreshPlaza 2025-03-24、2025-04-02)、および「日本市場を失う懸念」が業界内にあること(Philstar 2025-03-22)。日フィリピンEPA下でのバナナ関税が争点。 - 傍証(2026-08-25 検証で補記。出典:分野資料「ミンダナオ地方」§12):スミフル(Sumifru Philippines)がダバオ・デル・ノルテ州タグム市等の農園・パッキング施設から日本のバナナ輸入の約3割を扱ってきた(「甘熟王」ブランド)。注 これは1社の日本向けシェアであって「フィリピンの日本市場シェア」ではない。また住友商事は2019年6月にスミフル・シンガポール株49%を全売却してフィリピンのバナナ生産から撤退しており、現在スミフルジャパンと住友商事に資本関係はない。「住友商事がフィリピンでバナナを作っている」と書くと誤り。
3.3 砂糖(ネグロス)
2025-26年作季(2025年10月1日開始)の枠組み
| 項目 | 内容 | 年・出典 |
|---|---|---|
| 生産分類 | 全量「B」(国内消費向け)に指定 | 2025年8月、SRA |
| 生産見込み | 200万MTを突破する可能性、当初予測比 約+5% | 2026年8月、SRA公表 |
| 砂糖輸入 | モラトリアムを2026年12月まで延長 | 2025年12月、農業省 |
| 糖蜜(molasses)輸入 | モラトリアムを2026年3月まで延長 | 2025年11月、農業省・SRA |
| バイオエタノール | 輸入砂糖・糖蜜を原料に使うことを禁止 | 2026年6月、農業省・SRA |
| 米国向け輸出 | 3年連続で実施、10万MTの原糖輸出計画を農業省が承認 | 2026年1月 |
輸入を止めているのに国内価格が暴落したという逆説が2026年の最大の論点。 - ミルゲート価格が約30%下落(Imee Marcos上院議員、GMA 2026-04-28) - 過剰輸入により業界が72億8,000万ペソの損失を被ったとの下院議員の指摘(GMA 2026-03-19) - 下院が価格崩壊の調査を開始(BusinessWorld 2026-02-25)、上院も別途調査(PNA 2026-02-12) - 代替甘味料(sugar substitutes)の流入が併せて問題視され、上院調査の対象に(Inquirer 2026-02-12)。業界はSRA・農業省に代替甘味料の規制を要求(Daily Tribune 2026-02-02) - ネグロスの生産者団体が価格急落に警鐘(Rappler 2025-10-10)。SRAの新規則2件にネグロスで反対の声(Rappler 2026-01-26) - 病害虫:ビサヤで4,000ha超のサトウキビ畑が病害虫(報道では「RSSI」と表記)に感染(BusinessMirror 2025-09-08)
注「砂糖不足で輸入」という2022〜2023年頃の構図は2026年には当てはまらない。現在は逆に「輸入禁止+価格暴落+代替甘味料」の局面。古い記事を根拠にすると読み違える。
この砂糖安は、URCの「コモディティ」セグメント(上期EBIT −19%)とそのまま連動している。
3.4 パイナップル
- 主産地はミンダナオ島。ブキドノン州(Del Monte Philippines)と南コタバト州(Dole Philippines)。ブキドノン州は農業生産額で全国1位(Inquirer 2025-12-07)
- Del Monte Pacific の北アジアにおける生鮮パイナップルシェアは55%(+3ポイント)(同社FY2026開示)。品種は MD2
- 中東紛争は生鮮パイナップル輸出にも影響(BusinessWorld 2026-03-30 見出し「Prolonged Mideast war could dampen banana, pineapple exports」)
4. 食品安全:FDA Philippines
4.1 2026年最大の事案:Nestlé 乳児用調製粉乳の回収
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | NAN OPTIPRO(0-6ヶ月/6-12ヶ月)、NAN OPTI(1-3歳)、NANKID OPTIPRO(3歳以上)の14品目・38バッチ |
| 原因 | 供給されたARA油(アラキドン酸リッチ油)からセレウリド(cereulide)が極微量検出。Bacillus cereus が産生する毒素で、嘔吐・腹痛などの消化器症状を起こしうる |
| 根拠 | FDA Advisory No. 2026-0030(2026年1月13日) |
| 経緯 | Nestlé Philippines の自主回収(2026年1月)→ FDAが調査 → 2026年3月に回収品の廃棄を立会い |
| 健康相談 | FDAは18件(後に25件)の健康上の懸念に関する報告を受理 |
- FDAは当初「回収対象製品に関連する疾病・有害事象の報告はない」と説明したが、下痢・嘔吐の訴えが報じられ(Interaksyon 2026-01-14)、その後報告件数を公表。「基準値がないことは説明責任の盾にはならない」とFDAが明言(Inquirer 2026-01-20)した点は、フィリピンの規制姿勢を理解するうえで重要
- これはグローバルな回収でもあった(Reuters 2026-01-21、カナダCFIAが2026年2月に同じセレウリドで回収)。フィリピン単独の問題ではない
4.2 2025〜2026年の規制整備の動き
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 2025年12月 | 包装済み加工食品の栄養・健康強調表示ガイドライン(意見募集稿) |
| 2026年1月 | FDAが規制業務の完全デジタル化方針を表明(PNA 2026-01-16) |
| 2026年2月 | 包装済み加工食品用の食品接触材(FCA)に関する一般ガイドライン(意見募集稿) |
| 2026年2月 | Codex 果汁・ネクター規格(CXS 247-2005)の採用(意見募集稿) |
| 2026年3月 | 未登録食品「CEBU 88 Dried Mangoes」への公衆衛生警告(Advisory No. 2026-0174) |
注 フィリピンでは食品を輸入・販売するにはFDAの LTO(License to Operate) と製品ごとの CPR(Certificate of Product Registration) が必要。上記のFCAガイドラインやCodex規格採用は、包装材・表示要件の変更につながるため、日本から輸出する事業者は意見募集段階から追う価値がある。
5. 税制:ProGRESS法案と砂糖入り飲料税
- 2026年8月、財務省(DOF)が ProGRESS法案 を提示。中間層向けの所得税減税と引き換えに、「sin tax」(酒・たばこ等)と奢侈税の引き上げ、砂糖入り飲料(sugary drinks)への増税を組み合わせる設計(Manila Bulletin 2026-08-03、Philstar 2026-08-05)
- 飲料業界はDOFに再考を要請(BusinessWorld 2026-08-14)。BusinessWorldは「消費関連企業が excise tax 案でマージン圧縮に直面」(2026-08-11)、「増税案は消費をさらに冷やす公算」(2026-08-10)と報じた
- Moody's は「ProGRESS法案は財政再建の遅れリスクをはらむ」と指摘(BusinessWorld 2026-08-20)
- 注具体的な税率(ペソ/リットル)と施行時期は本調査では未確認。既存のSSB税(2018年のTRAIN法で導入)からの上げ幅を確認せずに数字を書かないこと
- 背景として、2025年9月には下院に砂糖入り飲料税の引き上げ法案が提出済み(BusinessWorld 2025-09-30)、2026年4月には健康面からのソーダ税見直し要請(同 2026-04-30)
食品飲料株にとって、2026年後半〜2027年の最大の政策リスクはこの増税案。SMFB(ビール・蒸留酒)、URC(RTD茶・粉末飲料)、Del Monte(ジュース)が直撃を受ける構図。
6. 知らないと間違える点(注まとめ)
| # | よくある誤解 | 実際(2026年8月時点) |
|---|---|---|
| 1 | 「サンミゲルのビール国内シェアは90%超」 | 注数値の一次確認ができない=未確認。SMBは2013年に上場廃止で開示が薄い。指標(数量/金額)を明示できないなら「圧倒的優位」等の定性表現にとどめる |
| 2 | 「フィリピンは世界一のココナッツ生産国」 | 注生産量ではインドネシアが1位(1,713万MT対1,477万MT)。フィリピンは輸出で最大とされる。指標を分けること |
| 3 | 「フィリピンは砂糖不足で輸入している」 | 注2026年は輸入禁止(2026年12月まで)+国内価格暴落の局面。2022-23年の構図は当てはまらない |
| 4 | 「バナナ輸出は世界2位」 | 注2024年について「3位」「4位」の両方の報道あり。順位は指標・集計機関次第。断定しない |
| 5 | 「Del Monte Philippines は経営危機」 | 注危機なのは米国のDel Monte Foods(Chapter 11)。フィリピン事業はFY2026に増収増益(売上+13.5%、純利益4,842万ドル)。ただし持株会社DMPLは資本欠損5億8,990万ドルで債務再編中 |
| 6 | 「Monde Nissin はQuornで赤字続き」 | 注2026年上期はQuornがコアEBITDA黒字(5億7,400万ペソ)、粗利率+688bp。累計減損2億5,900万英ポンドという過去の傷とは別に評価する |
| 7 | 「Jollibeeは絶好調」 | 注Q2純利益は過去最高だが、上期累計は前年比−13.3%、通期目標も8月に下方修正。両方書かないと誤解を招く |
| 8 | 「食品は生活必需だからインフレに強い」 | 注2026年上期はSMFBビール−12%、URC営業利益横ばい、Jollibee上期減益。燃料・海上運賃・電力が原価に直撃し、価格転嫁は不完全 |
| 9 | 2025年までの数字と2026年の数字を混ぜる | 注SMFBは2025年通期が食品牽引の好調、2026年上期は減益。DMPLは4月期決算で年度がずれる。CNPFは6月の地震で断層がある |
7. 数字早見表(2026年8月25日時点)
| 企業 | 直近期 | 売上 | 純利益 | 出典 |
|---|---|---|---|---|
| SMFB | 2026年上期 | 2,053億ペソ(+2%) | 221億ペソ(−4%) | SMC 2026-08-05 |
| SMFB | 2025年通期 | 4,191億ペソ(+5%) | 463億ペソ(+13%) | SMC 2026-03-10 |
| URC | 2026年上期 | 893億ペソ(+4%) | コア67億ペソ(+3%) | URC投資家資料 2026-08-06 |
| URC | 2025年通期 | 1,680億ペソ(+4%) | 約110億ペソ(−4%) | InsiderPH/Inquirer 2026-03 |
| Monde Nissin | 2026年上期 | 443億ペソ(+6.8%) | コア55億ペソ(+16.1%) | Monde Nissin 2026-08-12 |
| Century Pacific | 2026年上期 | 458億ペソ(+15%) | 41億ペソ(+6%) | CNPF 2026-08-06 |
| Century Pacific | 2025年通期 | 833億ペソ(+10%) | 71億ペソ(+11%) | CNPF 2026-04-13 |
| Del Monte Pacific | FY2026(4月期) | 8億9,613万ドル(+13.5%) | 4,842万ドル(黒字転換) | DMPL MD&A 2026-06-25 |
| Jollibee | 2026年Q2 | 595億ペソ(+10.7%) | 34億ペソ(+5.7%、四半期最高) | JFC 2026-08-18 |
| 一次産品 | 指標 | 数値 | 年・出典 |
|---|---|---|---|
| ココナッツ | 輸出額合計 | 35億7,000万ドル(過去最高) | 2025年、PCA |
| ココナッツ油 | 輸出額/平均価格 | 28億7,000万ドル/2,480ドル/MT | 2025年、PCA |
| バナナ | 総輸出量 | 304万MT(+30%) | 2025年、PBGEA |
| バナナ | 中東向け輸出額 | 1億9,300万ドル(総額の12%) | 2025年、PBGEA |
| 砂糖 | 生産見込み | 200万MT超の可能性 | 2025-26年作季、SRA |
| パイナップル(生鮮) | 北アジアシェア(DMPL) | 55%(+3pt) | FY2026、Del Monte Pacific |
検証記録:本稿は2026-08-25の産業クラスタ検証(担当5本)の対象。検出した食い違い16件と併記事項の全一覧は、クラスタ代表ファイル「繊維・アパレル産業_v1.0_20260825.md」末尾の「検証記録(2026-08-25)」に集約してある。本稿に関わる主な処理は #8(GDP 2.8%の期間確定)、#13(NURC持分の確定)、#16(JollibeeのFC比率)、およびバナナ順位・ココナッツ生産量・SMB株主構成の補記。 第2次検証(2026-08-25/企業データ重点)では、JFCの2026年上期「閉店207店」が、分野資料「小売と外食」が未確認としていた「急成長のチキンチェーンが207店を閉鎖」報道(AOL等 2026年8月14日)と数値一致することを検出し、§2.6に相互参照を追記した(注ブランド特定は依然未確認)。あわせて2025年末(10,341店)と2026年6月末(10,767店)の店舗網が両資料で時点混同されないよう、小売側に時点を明記した。全一覧は同じく「繊維・アパレル産業」末尾の第2次検証記録に集約。