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フィリピンの航空とホテル・リゾート産業

情報基準日:2026-08-26 / 分野:インフラ・交通・不動産

2026年のフィリピン航空・宿泊産業を語るうえで、避けて通れない外部要因が二つある。ひとつは中東情勢(イラン戦争)に起因するジェット燃料価格の暴騰で、2026年3月に大規模な減便・運休と「国家エネルギー緊急事態宣言」を引き起こした。もうひとつはNAIA(ニノイ・アキノ国際空港)の民営化と、それに伴う2026年3月29日のターボプロップ機のマニラ撤退である。本稿は、この二つの衝撃を軸に、航空会社の経営・機材・路線(特に日本線)と、ホテル・リゾート産業の稼働率・供給・規制を整理する。


1. 航空会社の全体像と2026年の経営状況

1-1. 主要航空会社一覧

航空会社 設立 位置づけ 2025年実績・特記事項
Philippine Airlines(フィリピン航空/PR) 1941年 フラッグキャリア、唯一のフルサービス網航空会社 旅客1,630万人。同社自身が「アジア初の商業航空会社」と称する(PAL広報資料 2026年3月)
Cebu Pacific(セブパシフィック/5J) 1988年(1996年運航開始) 国内最大のLCC。Cebu Air, Inc.(PSE上場)が運営 旅客2,690万人(過去最高)、国内シェア56.2%
PAL Express(PR、旧Air Philippines) PALの地域子会社。ターボプロップ/小型ジェット 2026年3月29日でマニラ発着ターボプロップ全廃
Cebgo(DG) セブパシフィックの完全子会社。ATR運航 2026年3月29日にマニラ発着ターボプロップをクラークへ全面移管
AirAsia Philippines(Z2) 2012年 LCC。2026年にAirAsia X傘下へ再編 年間輸送約700万人(Tony Fernandes氏、2026年6月)
Sunlight Air(2R) 2021年 ブティック系リージョナル ATR 72×4機、離島ニッチ路線に特化
AirSWIFT(T6) 2024年10月にセブパシフィックが17.5億ペソで買収。エルニド(Lio空港)運営 ATR 42/72

「アジア最古の航空会社」という表現は流通しているが、指標(存続中の商業航空会社か、設立年か)によって順位が変わる。PAL自身の公式表現は "Asia's first commercial airline"(PAL広報 2026年3月)であり、本稿はこれを引用に留める。

1-2. 2026年の決算 ── PALとセブパシフィックの明暗

指標 PAL(2025年通期) Cebu Air(2025年通期)
売上高 32億2,000万米ドル(前年比+3.0%) 1,199億ペソ(+14%)
純利益 1億6,040万米ドル(+6.1%) 123億ペソ(+128%)
営業利益 2億2,800万米ドル(営業利益率7%) 115億ペソ(+25%)
旅客数 1,630万人(+4.3%) 2,690万人(+10%)
座席利用率 78.7%(2024年 79.1%) 84.0%
付帯収入 3億120万米ドル(+24.9%、売上の9.4%) 320億ペソ(+14%)
貨物収入 1億6,500万米ドル(+3.7%、輸送量1億8,750万kg) 72億ペソ(+27%)

出典:Philippine Airlines「Philippine Airlines Posts $160 Million Net Income in 2025」(PAL広報部、2026年3月)/Cebu Air Inc. 2025年通期業績(Inquirer, PortCalls, GMA News 2026年3月報道)。

2026年上期は明暗が反転気味である。セブパシフィックの2026年第1四半期のコア利益は13億ペソ(前年同期3億2,500万ペソ)と約4倍に伸びたが、上期(1〜6月)の旅客は1,449.9万人(+4.3%)にとどまり、座席利用率は85.4%→81.2%へ低下した(供給座席が+9.7%と需要を上回ったため)。国内は1,086.5万人(+4.9%)と堅調な一方、国際線は減便の影響で336.4万人へ縮小した(Cebu Air開示、2026年7月/GMA News・BusinessMirror報道)。

1-3. 機材と発注 ── 2026年は「発注ラッシュの年」

案件 内容 時期・出典
セブパシフィックのエアバス大量発注 最大152機(A321neo 最大102機+A320neoファミリー購入権50機、最低確約70機)。P&W GTFエンジン。リスト価格ベース約240億米ドル=史上最大のフィリピン航空機発注 2024年7月22日ファーンボロでMOU、2024年10月2日にマニラで確定契約(ただし確定分は70機)。初号機納入は2029年
セブパシフィック A330neo 2025年11月に13号機受領。同社は「アジア最大のA330neoオペレーター」を標榜。459席仕様をマニラ=プエルトプリンセサ等の国内線に投入 BusinessWorld 2025年11月
セブパシフィック機材計画 2025年末で100機(7機受領・5機退役)。2026年も7機受領/7機退役で100機を維持し、新世代機比率を高める Cebu Air 2025年通期開示
PAL A350-1000 2023年6月に9機を確定発注。2025年12月21日に初号機受領=東南アジア初のA350-1000運航会社。2026年7月21日ファーンボロで追加9機のMOU(合計18機へ倍増)、購入権5機付き Airbus プレスリリース(2023年6月/2025年12月/2026年7月21日)
PAL ボーイング787-10 2026年7月20日、15機の確約+5機のオプション(最大20機)。2007年以来のボーイング発注、同社85年の歴史で最大の広胴機コミット Boeing プレスリリース 2026年7月20日
PALのアライアンス加盟 2026年6月6日(IATA年次総会・リオデジャネイロ)にoneworldから招請。16番目の加盟社となる見込み oneworld/PAL公式リリース 2026年6月

セブパシフィックの「152機」は上限であり、2024年10月時点の確定発注は70機。「152機を発注」と単純に書くと誤りになる。 (2026-08-26 検証で裏取り済み)Airbus プレスリリース「Cebu Pacific orders 70 A321neo」(2024年10月2日付)確定70機のみを記載し、購入権には触れていない。「A321neo 最大102機+A320neoファミリー購入権50機=152機、最低確約70機、リスト価格約240億米ドル」という構造はセブパシフィック側の開示による。署名者は Mike Szucs(セブパシフィックCEO)と Benoît de Saint-Exupéry(Airbus 民間機部門EVP Sales)、署名地はマニラ、2024年7月の MOU の確定化。初号機納入2029年、全機引渡し完了目標2033年、以後に購入権を行使しうる、というのが同社の説明である。「Airbus 発表=70機」「セブパシフィック発表=最大152機」で数字が違うので、どちらの発表を引いているか必ず明示すること。 PALのA350-1000は2025年12月が初号機。「2026年初納入」という記述は誤り。


2. 2026年の燃料危機 ── 中東紛争が航空・観光を直撃

2026年のフィリピン航空業界最大の事件は、中東紛争による燃料価格の急騰である。

日付 出来事
2026年2月28日〜3月5日 CAAP監視で中東線を中心に114便が欠航(ドバイ、リヤド、ドーハ、アブダビ、バーレーン)
2026年3月23日 セブパシフィックが「燃料価格が2025年平均の2倍超」として一時的ネットワーク調整を告知。ダバオ=バンコク(4/23〜10/23)、イロイロ=バンコク・ドンムアン(4/17〜10/24)、イロイロ=シンガポール等を運休
2026年3月24日 マルコス大統領が「国家エネルギー緊急事態」を宣言。航空機の地上待機(グラウンディング)が「明確な可能性」と言及
2026年3月〜4月 PALもマニラ=ドーハ/ドバイを4月30日まで運休、マニラ=リヤドも運休。セブ=グアム(PR120/121)は4月16日で終了、セブ=ホーチミンは4月19日から運休

出典:Rappler/Philstar/Cebu Daily News/Gulf News(2026年3〜4月報道)。

民間航空委員会(CAB)の燃料サーチャージ

CABは変動対応のため、従来の月次から15日ごとの改定へ暫定移行した。指標はMOPS(Mean of Platts Singapore)。

適用期間(2026年) レベル 国内線(1人あたり) 国際線(比国発、距離帯別)
4月1〜15日 8 253〜787ペソ 835.05〜6,208.98ペソ
4月16〜30日 19 627〜1,824ペソ
5月1〜15日 18 593〜1,734ペソ 1,958.44〜14,561.87ペソ
5月16〜31日 15 491〜1,436ペソ 1,621.42〜12,056ペソ
6月1〜15日 13 423〜1,237ペソ 1,396.74〜10,385.42ペソ
7月16〜31日 8 253〜787ペソ 835.05〜6,208.98ペソ
8月1〜15日 13 423〜1,237ペソ 1,396.74〜10,385.42ペソ
8月16〜31日 12 389〜1,137ペソ 1,284.40〜9,550.13ペソ

出典:CAB Advisory(cab.gov.ph 各期告示)/BusinessWorld 2026年8月13日、GMA News各報。IATA集計では2026年8月7日時点のジェット燃料価格は1バレル146.93米ドル(前週比▲7.5%)とピークからは後退したが、依然として前年同期を大きく上回る。

燃料サーチャージは運賃本体ではなく「航空会社が申請して徴収できる上限」である。全社が上限まで取るとは限らない。


3. 日本=フィリピン線 ── 2026年の全体像

3-1. 運航会社と就航都市

日本側空港 フィリピン側 運航会社 2026年の状況
成田(NRT) マニラ PAL、セブパシフィック、ANA、JAL PALは2026年10月25日(sky-budget表記10月26日)〜2027年3月27日に週14→週21便(トリプルデイリー)へ増便。5Jは週14便を7月に週11便へ一時減便
成田 セブ PAL、セブパシフィック 5Jは週11便(6〜7月に週8〜9便へ一時減便)
成田 クラーク セブパシフィック 週7便(7月に週5便へ一時減便)
羽田(HND) マニラ PAL、ANA、JAL JALは2026年4月1日よりNAIA第1→第3ターミナルへ移転
関西(KIX) マニラ PAL、セブパシフィック PALは2026年10月〜週14→週21便へ増便。5Jは7月に週7→5便へ一時減便
関西 セブ PAL、セブパシフィック PALは週5日(月・水・木・土・日)、5Jはデイリー(2025年4月〜)
中部(NGO) マニラ PAL、セブパシフィック 5Jは2014年3月30日開設、現在週7便
中部 セブ セブパシフィック(新規) 2026年11月19日就航、週4便(火・木・土・日)、A320neo(188席)。セブ=中部はPALが2020年3月に運休して以来6年8か月ぶりの復活
福岡(FUK) マニラ PAL、セブパシフィック 5Jは週7便(6〜8月に週6→4便へ一時減便)
新千歳(CTS) マニラ PAL、セブパシフィック 5Jは2026年6月に運休→10月27日再開(火・木・土 週3便、A321neo)、11月27日からデイリー化計画。PALは11月23日(sky-budget表記11月24日)から季節運航再開、週3→週5便へ拡大

出典:Aviation Wire(2026年8月7日 中部=セブ)、sky-budget(2026年5月19日/7月9日/7月19日)、AeroRoutes(2026年4月3日)、Cebu Pacific/PAL各リリース。

PALの日本ネットワークは2026年冬ダイヤで最大週87便に達し、マニラから成田・羽田・中部・関西・福岡・新千歳の6都市、セブから成田・関西の2都市へ就航する(sky-budget 2026年7月9日)。

3-2. 2026年夏の大量欠航

セブパシフィックは2026年8月31日〜9月30日に日本=フィリピン線で合計166便を欠航すると発表した。対象は成田=マニラ/セブ/クラーク、中部=マニラ、関西=マニラ/セブ、福岡=マニラの7路線(TRAICY Global、2026年4月27日)。さらに6〜8月には多数の減便がAeroRoutesで確認されている(例:マニラ=成田 週14→11便、7月2〜28日)。日本発の旅行手配では「予約済み便の欠航」を前提にした余裕日程が実務上必須である。


4. 国内線ネットワークとハブ

4-1. NAIAのターボプロップ全廃(2026年3月29日)

項目 内容
根拠 マニラ・スロット調整委員会(MSCC)決議。2024年12月3日に段階的廃止を決定、当初期限2025年10月26日 → 2025年7月29日の改定(MSCC Resolution 2025-02)で2026年3月29日へ延長
構成 DOTr、MIAA、CAAP、CAB、NNIC(NAIA運営会社)
PALの対応 マニラ発着ターボプロップを全廃。ブスアンガ(コロン)とシアルガオ→クラーク、アンティケ→イロイロ、カタルマン→セブへ振替
PALの代替増便 マニラ=セブ 週最大76便、マニラ=イロイロ 週42便、マニラ=タクロバン 週28便、マニラ=ドゥマゲテ 週21便、マニラ=ロハス 週14便
セブパシフィックの対応 Cebgoのコロン線・ナガ線をクラークへ移管(DG6051/6052→DG6053〜6058)。AirSWIFTのエルニド線もクラークへ移転

出典:PortCalls Asia(2026年1〜2月)、Manila Bulletin(2026年1月22日)。

MIAAのEric Jose Ines総支配人は、この転換によりNAIAの2026年旅客数は前年より減少する可能性があると述べている(Philstar 2026年1月5日)。

4-2. NAIAの混雑と発着枠

指標 数値 出典
2025年通年旅客 5,202万人(2024年 5,010万人を更新し過去最高) NNIC発表、Inquirer 2026年2月
2026年1月 496万人=月間過去最高(国際242万人 +8.16%、国内254万人 +3.16%) 同上
単日最高 2026年1月4日 180,089人 同上
滑走路処理能力 毎時40回 → 48回へ引き上げ計画 Philstar 2026年1月
ターミナル能力 年3,500万人 → 6,200万人へ 同上
改修総額 1,706億ペソ 同上
政府への納付 2024年9月の運営開始以降、2026年1月までに627億ペソ(収益分配82%) NNIC、Inquirer 2026年2月

ターミナル再配置(2026年):3月29日に中国国際航空・中国東方航空・ベトナム航空・ロイヤルブルネイ・深圳航空がT1→T3へ、フィリピンエアアジア(国際線)とAirAsia BerhadがT3→T1へ移動。JALは4月1日にT1→T3へ移動。T4は2026年上半期完成目標、T4・T5は建設中(NNIC発表、Inquirer 2026年)。

4-3. 新空港・地方ハブ

空港 2026年の状況
New Manila International Airport(ブラカン、San Miguel Corp.) 敷地約2,500ha、最終形で4本の滑走路。埋立・造成は約80%完了、ターミナル建設は2026年着工。Ramon Ang会長は完成が1年遅れて2028年になると説明(砂の調達難)。初期段階で年3,500万人、最終形で年最大1億人構想
Clark International(CRK) ターボプロップ移管の受け皿。PAL・セブパシフィックが第2ハブ化
Mactan-Cebu International(MCIA) Aboitiz InfraCapital Cebu Airport Corp.(ACAC)が運営。44都市(国内28・国際16)、21社が乗り入れ。第2滑走路を含む長期マスタープラン策定中
Davao International(DVO) PAL・セブパシフィックの南部ハブ。2026年10月からセブパシフィックがダバオ=バンコク/香港を再開予定

5. 離島リゾートへのアクセス

目的地 主要空港 2026年の状況
ボラカイ カティクラン(Godofredo P. Ramos/MPH) 滑走路を950m→1,800mへ延伸済みでA320級が就航。San Miguel傘下Trans Aire Development Holdings(TransAire)が25年間の運営権。9,180㎡の国際線ターミナル新設と滑走路2,100mへの延伸計画があるが、用地取得で遅延。年700万人対応を標榜
ボラカイ(代替) カリボ(KLO) 2026年5月時点でセブパシフィック、フィリピンエアアジア、T'way Airが就航。カティクランより遠く、ジェッティ港まで陸路約2時間
エルニド Lio空港(ENI、AirSWIFT運営/セブパシフィック傘下) 2026年3月29日にマニラ発着便がクラーク発着へ移管。セブ=エルニドはAirSWIFTとCebgoで週10便(2026年4月時点)
シアルガオ Sayak空港(IAO) 2025年8月8日に新ターミナル起工。出発待合を200→750人、チェックインカウンター3→9、床面積716→1,531㎡。2026年5月のASEAN首脳会議に合わせた完成を企図。Sunlight Airが2026年4月にクラーク=シアルガオを開設
コロン ブスアンガ(Francisco B. Reyes/USU) 滑走路を1,200m→2,100m(将来2,400m)へ延伸、2026年12月完成予定。新ターミナルは2027年5月完成目標。現行年間26.3万人 → 将来250万人超を想定
シキホール Sunlight Airが2025年12月に初の直行定期便を開設(週4便)
ロンブロン(タブラス) Tugdan空港 Sunlight Airが2026年8月11日にクラーク=タブラスを開設(火・土 週2便、片道1,899ペソ〜)

出典:Rappler、SMC Infrastructure、PIA(2026年)、Manila Bulletin(2025年8月9日)、Sunlight Air公式(2026年)、Tribune(2026年4月15日)。


6. 航空安全 ── FAAカテゴリーとEUリスト脱却

制度 経緯
FAA IASA 2008年1月にカテゴリー2へ降格(ICAOの勧告を受けたもの)。2014年4月、3月のCAAP審査を経てカテゴリー1へ復帰。FAA航空安全担当次官Margaret Gilligan名の書簡(2014年4月9日付)がGoldberg米大使からCAAP長官William K. Hotchkiss IIIへ手交された。 現行の最新IASA一覧原表(faa.gov)はWebFetchで取得できず、2026年8月時点のカテゴリーは「一次資料未到達」
EU航空安全リスト 2010年3月、フィリピン籍の全航空会社がAnnex Aに掲載。2013年にPALのみ解除、2014年にCebu Pacific Airを解除。2015年6月25日のCommission Implementing Regulation (EU) 2015/1014により、フィリピン籍の全航空会社がAnnex Aから削除された(第106項)。第107項は加盟国にランプ点検の優先実施による継続的検証を求めている

「2016年にEUリストから外れた」という記述が流通しているが誤り。正しくは2015年6月25日のRegulation (EU) 2015/1014である。2016年の Regulation (EU) 2016/963 はフィリピンとは無関係の定期更新である(EUR-Lex原文で確認)。

定時性(OTP)と欠航

指標 数値 出典
PAL 2025年通年 アジア太平洋で定時性1位(Cirium) PAL広報 2026年3月
PAL 2025年11月 OTP 92.01%(前年同月比+4.92pt)、欠航392便(+5.95%) 第三者集計
セブパシフィック 2026年4月 OTP 84.98%(12,000便超)、フィリピン籍1位・アジア太平洋5位 Cirium月次、BusinessMirror 2026年5月14日
PAL 2026年4月 83.45%(アジア太平洋8位/東南アジア6位) 同上
AirAsiaグループ 2026年4月 76.4%(東南アジア7位) 同上
参考:東南アジア首位 シンガポール航空 87.52%、ガルーダ86.08%、Scoot 85.78% 同上

Ciriumの定義は「定刻15分以内のゲート到着」。CABの国内線集計とは定義が異なるため直接比較できない。 2026年4月のOTP改善には減便で便数が減った効果が含まれるとの指摘がある。


7. ホテル・リゾート産業

7-1. 供給規模と客室数

指標 数値 出典・注記
DOT認定施設の登録客室数 約23万5,000室 業界系記事の孤立した数字で一次資料未到達。DOTのFOI開示(「List of DOT-accredited Accommodation Establishments with the number of rooms」)で確認が必要
2028年に必要な客室数 12万463室の新規(外国人客1,000〜1,200万人目標に対して)/パイプラインは158施設・4万84室(2,500億ペソ) Philippine Hotel Owners Association+Leechiu「Philippine Accommodation Pipeline 2024」(BusinessMirror報道)
メトロマニラ 2026年新規供給 2,890室(2018年以来の最大規模)。2025年は739室、2024年は2,865室 Colliers「Property Market Report – Hotel H2 2025」(BusinessWorld 2026年2月16日)
2026〜2029年 年間約1,800室。約52%が外資ブランド(Mandarin、Dusit、Canopy、Moxy) 同上
JLL の2026年供給見通し 約4,500室(外資約2,300室+内資約2,200室) JLL(Real Estate Asia報道)

ColliersとJLLで供給見通し(2,890室 vs 4,500室)が大きく異なる。カウント対象(グレード・エリア)の違いによるもので、どちらか一方を「正解」として扱うべきではない。

7-2. 2026年の稼働率とADR

指標 2019年 2025年 2026年
全国ADR 5,408ペソ 5,987ペソ
全国RevPAR 3,691ペソ 3,620ペソ
全国稼働率 68% 約60%
メトロマニラADR 5,161ペソ 6,009ペソ 8,034ペソ(Q1、JLL)
メトロマニラRevPAR 3,553ペソ 3,942ペソ
メトロマニラ稼働率 69% 65% 81.8%(Q1、JLL)/通年見通し約60%(Colliers)

出典:Leechiu Property Consultants(BusinessMirror 2026年2月17日)/Colliers H2 2025 Hotel Report/JLL「Philippine hotel sector shows resilience amid market shifts」(2026年)。

稼働率の数字は出所により60%台と80%台に割れる。Leechiu/Colliersは全国・全等級ベース、JLLは高級・アッパースケール中心のサンプル。「フィリピンのホテル稼働率は82%」と単独で引用するのは誤解を招く。 Leechiuは「ADRは名目ではほぼ横ばいだが、インフレ調整後の実質では2019年より低い」と指摘している(2025年のインフレ率1.7%、2019年2.4%)。

JLLのQ1 2026データでは、BGC 87.9%、マカティCBD 83.9%、ラグジュアリー帯は稼働率86%・客室単価1万1,000〜1万2,000ペソ。同時にJLLは「原油高が航空会社の運航と予約行動に影響し、主要キャリアが路線を運休している」ことをリスクとして明示している。

7-3. 訪問客数 ── 需要の実態

期間 数値 出典
2019年通年 826万人 DOT
2025年通年 648万4,060人(+0.76%)。うち外国人594万0,975人(+0.27%)、帰国比人54万3,085人(+6.41%)。目標840万人に対し大幅未達。観光収入は約6,940億ペソ DOT/Bureau of Immigration(2026年1月)
2025年 韓国 134万6,301人(▲18.49%)=依然首位だが急減 同上
2026年上期 316万人(+5.41%)。外国人290万人+帰国比人26万0,717人。2019年同期(413万人)の76.5% DOT(BusinessMirror 2026年7月20日)
2026年上期の主要市場 米国58万1,565人(+6.9%)=第1位、韓国55万2,860人(▲13.7%)=第2位、中国21万9,796人(+64.54%)、豪州17万4,257人(+12.3%)、カナダ15万6,763人(+15.6%)、台湾11万1,134人(+11.85%)、英国9万2,829人、シンガポール7万8,069人、インド6万0,583人(+43.03%)、マレーシア5万3,437人、ドイツ4万8,657人 同上
2026年1〜5月(順位逆転が確認できる期間) 米国531,859人(19.40%、+7.07%)が韓国501,789人(18.31%、▲9.56%)を抜いて第1位。日本は3位(8.26%)、中国4位(6.84%)、カナダ5位(6.06%)。総数2,741,117人(+7.51%) DOT(Philstar 2026年6月19日/PIA/Tribune 2026年6月18日)。2026-08-26 検証で追記
2026年目標 670万人(2025年目標840万人から下方修正) DOT

2026年の構造変化 ── 米国が韓国を抜いて最大の訪問者送出国に(2026-08-26 検証で追記) - 指標:DOT(eTravel/DICT ベース)の居住地・国籍別「訪問者到着数」の年初来累計。金額でも宿泊者数でもない。 - 韓国は 2023〜2025年に首位を占め、2025年通年も 1,346,301人(▲18.49%)で首位だったが、2026年は 1〜5月累計で米国に抜かれ、年初来累計で首位を明け渡すのは初めて。韓国の月次は 1月149,964人 → 2月131,535 → 3月91,525 → 4月67,803 → 5月60,962 と急落した。背景として、在比韓国大使館が2025年に治安上の注意喚起を出したことが挙げられる。 - 米国発の相当部分は在米フィリピン系の里帰り(VFR)とみられ、「米国人観光客が増えた」と単純化してはならない(→「対米関係の各論」§5.5)。

日本市場の2026年上期の数値は、参照した記事のレンダリングで米国と同一値が重複表示されており未確認とする。原表(DOT統計)での確認が必要。1〜5月では日本のシェアは 8.26%(第3位)と公表されている(実数は未公表/未確認)。 DOT 系列そのものに内部矛盾がある(2026-08-26 検証):観光相は「2026年1月1日〜6月16日で米国591,569人」と述べているが、これは上期(6月30日まで)の581,565人を上回ってしまう。また 1〜5月531,859人と上期581,565人の差=6月分49,706人は月平均(約106,000人)に比して不自然に小さい。DOT 自身が「BI 記録の反映後に確定する速報値」と注記しており、年初来累計・月次・確定値を混ぜて論じないこと。 DOTは2026年3月から集計基準を「国籍」から「居住地」へ変更した。前年比較には注意が必要(居住地ベースの方が数字が良く出る)。 eTravelベースの数値とBureau of Immigrationの数値は一致しない(2025年は586万5,319人 vs 594万0,975人)。

観光省(DOT)の体制も動いた。2026年3月12日にChristina Garcia-Frasco観光大臣が退任し(大統領府は「辞任ではなく配置転換」と説明、Presidential Adviser for Sustainable and Resilient Communitiesに就任)、Verna Buensuceso次官がOICを務めたのち、2026年4月10日にMa. Bernardita "Dita" Angara-Mathay氏がad interimで観光大臣に就任した(大統領広報庁PCO発表、Inquirer/PNA 2026年4月)。同氏は在東京フィリピン貿易投資センターの商務参事官を務めた通商外交官である。

7-4. 主要チェーンと2026年の開発

内資系

企業 ブランド 規模・計画
Ayala Land Hospitality(アヤラ) Seda、El Nido Resorts、Huni(Lio)、Raffles Makati、Fairmont Makati、Holiday Inn & Suites Makati Sedaは12施設を運営、20拠点へ拡大目標。5年間で5億米ドル(285億ペソ)を投じ、2030年までに客室を8,000室へ倍増(88%はアヤラの街区内)。Moxy Hotels by Marriott(Circuit Makati、比国初)とCanopy by Hilton(One Ayala)を導入。Mandarin Oriental Manilaをアヤラ・トライアングル上に275室で再建
Robinsons Hotels & Resorts(JG Summit/RLC) Grand Summit、Summit、Go Hotels、Fili、Westin 30施設・5,000室超(20市町)。2026年投資家向け資料では5,681室(+35%)、パイプライン1,000室超。2030年に37施設・6,400室超が目標。Grand Summit Bohol(200室超)は2026年第2四半期着工・2028年開業。Summit Villas Siargao(19室)ほか
SM Hotels and Conventions(SMHCC) Conrad Manila、Radisson Blu Cebu、Park Inn by Radisson、Pico Sands、Lanson Place 2029年までに7施設・約1,400室を追加。8割強がメトロマニラ外(イサベラ州カウアヤン、ラグナ、セブSRP、ダスマリニャス、ラオアグ、オロンガポ、クラーク)
DoubleDragon/Hotel101 Hotel101 2026年は年間最多の2,229室が稼働:マドリード680室(3月10日開業)、ダバオ519室、セブ548室、ニセコ(北海道)482室。Hotel101 Globalは比国企業として初めてNasdaqに上場(ティッカー HBNB、時価総額約23億米ドル/2026年1月)。3億米ドルのシリーズA永久優先株発行を推進中
Megaworld Hotels & Resorts Richmonde、Savoy、Belmont、Kingsford

外資系(2026年の動き)

ブランド 動き
IHG 2026年3月16日、InterContinental Manila(BGC、212室、2032年開業)の契約締結を発表。マニラでは15年超ぶりの復活(1969年から46年間営業していた)。開発は Keyland Corporation、Philippine Realty and Holdings、Greenhills Properties の3社連合。フィリピン国内では他にInterContinental 2件がパイプライン
Marriott AC Hotel by Marriott(2025年後半、160室)、Moxy Circuit Makati(比国初)
Hilton Canopy by Hilton One Ayala、Conrad Manila(SM)
Accor Raffles/Fairmont Makati(アヤラ運営)、Novotel/Mercure等
Dusit(タイ) ASAI Cebu Oslob(比国初のASAI、2026年後半予定、Grand Land Inc.と共同)、Dusit Greenhills
Okura(日本) Hotel Okura Manila(Entertainment City内、2026年後半予定)
Shangri-La Shangri-La Boracay(219室、通常営業中)、Shangri-La Mactan、Makati Shangri-La(2021年に一時閉鎖→2023年8月8日再開)
Hyatt Hyatt Regency Manila City of Dreams ほか

7-5. 高級リゾート

リゾート 所在 特徴
アマンプロ(Amanpulo) パラワン州クヨ諸島 パマリカン島 島全体を占有。国民芸術家Francisco Mañosaによる「バハイ・クボ」の再解釈建築。2026年にウェルネススタジオを本格稼働
エルニド・リゾーツ(El Nido Resorts) パラワン州エルニド アヤラ傘下(Ten Knots/Ayala Land Hospitality)。Lagen島の再開発計画あり。Lio地区にはHuniブランド
シャングリラ・ボラカイ ボラカイ島北岸 219室・ヴィラ。カティクランの専用ラウンジからプライベート高速艇で約30分。Travel+Leisure World's Best Awards 2025でアジアのリゾート第5位
Nay Palad Hideaway(旧Dedon Island) シアルガオ島 オールインクルーシブ
Balesin Island Club ケソン州マウバン沖 会員制のプライベートアイランド。マニラから空路約25分
「バライ(Balay)」 特定のリゾート名としては裏が取れず未確認。「balay」はビサヤ語で「家」を意味する一般語で、多数の小規模宿が同名を用いる
「アニンタ(Aninta)」 該当するフィリピンの高級リゾートは確認できず未確認。エルニドの小規模宿「Anitsa Resort」との混同の可能性

7-6. ボラカイ ── 収容力と2026年の変調

指標 数値
2025年通年入込 215万5,217人(2024年 207万7,977人)。うち国内客176万5,318人。観光関連収入 470億0,181万ペソ
2025年12月 22万7,828人(月間最多。国内182,913/OFW 4,736/外国人40,179)
2026年1〜6月 1月 213,281人/2月 188,479人/3月 200,165人/6月 177,228人
2026年3月 前年同月(291,418人)比▲31.3%
収容力(carrying capacity) 1日あたり総人口54,945人(非観光客35,730+観光客19,215)。DENRは観光客到着を1日6,405人までとするとしていた
2026年イースター週 56,590人(前年59,156人)。4%減でも収容力は超過。事実上、上限は執行されていない(最後の違反通知は2022年4月)

出典:Malay Tourism Office/Aklan州観光局(PIA、Panay News)、BusinessMirror(2025年4月25日/2026年4月9日)、Inquirer(2026年4月6日)。

収容力の根拠となる調査・上限値は環境天然資源省(DENR)所管だが、本稿は同省サイトへのアクセスを行わず、報道(BusinessMirror等)経由の二次情報として記載している。


8. 規制 ── 観光省の格付けと民泊

8-1. DOT認定(Accreditation)制度

根拠法は共和国法第9593号(2009年観光法/Tourism Act of 2009)である。条文は LawPhil で原文確認済み。

条文 内容(原文の要旨)
Section 4(q) 「一次観光事業(primary tourism enterprises)」を定義:travel and tour services/観光客専用の陸・海・空の運送/宿泊施設(accommodation establishments)/会議・展示主催者/観光団地管理サービス、ほか長官が指定する事業
Section 4(r) 「二次観光事業」=上記以外の観光事業
Section 39 「一次観光事業は、施設の品質とサービス水準について、定期的に観光省の認定を取得することを要求される(shall be periodically required to obtain accreditation)。二次観光事業については認定は任意(voluntary)とする」
Section 14(c) 観光基準局(Office of Tourism Standards)が、一次観光事業向けの義務的認定制度と二次観光事業向けの任意認定制度を整備・執行する

「DOT認定は任意」という説明が業界ブログに散見されるが、ホテル・リゾート等の宿泊施設は Section 39 上「一次観光事業」に該当し、認定は義務である。

格付けは5つ星グレーディング方式で、2012年にDOTとドイツGIZの技術協力で策定された「National Accommodation Standards」に基づく。施設・サービスの在庫・可用性・状態・品質を点数化し、1〜5つ星を付与する。宿泊施設の区分にはホテル、リゾート、アパートホテル、マブハイ宿泊施設(tourist inn、motel、pension house、bed and breakfast、vacation home)、ホームステイ用民家、エコロッジ、サービスアパートメント、コンドテルが含まれる(DOT AO 2021-004の定義規定より原文確認)。

8-2. 民泊(Airbnb)の規制

2026年8月時点で、フィリピンには民泊を直接規律する国レベルの単独法はない。規制は①国法(RA 9593等)②地方自治体(LGU)条例③DOT認定 ── の3層で構成される。

立法の動き(一次資料で確認):

法案 内容
House Bill No. 3786(第20議会 第1通常会期、2025年8月18日提出) 提出者:Eric G. Yap 議員、Edvic G. Yap 議員。題名「AN ACT REGULATING SHORT-TERM RESIDENTIAL RENTAL PLATFORMS, PROVIDING GUIDELINES FOR THEIR OPERATION, PROTECTING RESIDENTIAL HOUSING SUPPLY IN HIGH-DENSITY TOURIST AREAS, AND FOR OTHER PURPOSES」。通称「Short-Term Residential Rental Regulation and Housing Protection Act of 2025」
定義(Sec.3) STRR=30日を超えない期間の住宅・部屋の賃貸。Host=提供者。Platform Operator=Airbnb、VRBO等のデジタルプラットフォーム。Primary Residence=年間180日以上ホストが居住する住居
登録・許可(Sec.4) 全STRR事業者はLGUに登録し「Short-Term Residential Rental Permit」を取得(年次更新)。有効な許可を持つ住戸のみがオンラインプラットフォームに掲載可能。要件はバランガイ許可、所有権/賃貸契約の証明、消防・保健・衛生・建築基準の適合証明
立法理由 バギオ市・ラトリニダードを例示。長期賃貸の月額5,000〜15,000ペソに対し、同地域のAirbnbはADR 3,059ペソ/月間収入平均41,327ペソ(Airbtics 2025)で、長期賃貸からの転換が住宅供給を圧迫していると指摘
上院側 Senate Bill No. 1142(第18議会)「An Act Regulating Short-Term Residential Rental and Establishing a Registry for Such Purpose」

これらは法案であり成立していない。プラットフォーム側にVAT・源泉徴収や四半期報告を課す規定は未施行である。現行の実務では、ホスト側がBIR登録(Form 1901)、市町村の事業許可(Mayor's Permit)、バランガイ許可、必要に応じてDOT認定を取得する運用になる。 実務上最大の障害は法律ではなくコンドミニアムの管理規約(Master Deed/House Rules)である。多くの物件が短期賃貸を禁止しており、規約が沈黙していても後日の理事会決議で禁止に転じ得る。 「2026年からDOTがAirbnb/Expediaとデータ連携し、認定番号なしでは掲載不可・賠償責任保険10万ペソ必須」といった記述をウェブ上で見かけるが、DOTの発出文書や官報での裏付けは取れなかった。未確認として扱うべきである。

8-3. カジノ併設リゾートとの関係

フィリピンの高級ホテル供給は、Entertainment City(パラニャーケ市)の統合型リゾート(IR)に大きく依存する。Solaire Resort & Casino、City of Dreams Manila(Melco)、Okada Manila、Newport World Resorts、そしてケソン市のSolaire Resort North がその中核である。

指標 数値 出典
全国GGR 2024年 4,104億8,000万ペソ(過去最高) PAGCOR
全国GGR 2025年 3,961億4,000万ペソ(約60億米ドル)。PAGCOR当初見通し4,500〜4,800億ペソに未達 PAGCOR
2025年上期 IRのGGR 933億6,000万ペソ(全国2,150億ペソの約43%)。IRのみでは前年同期比▲5.86%。うち160億ペソをPAGCORにライセンス料として納付 PAGCOR(GMA News、Gambling Insider)
2026年第1四半期 全国GGR 876億ペソ(▲15.9%)。Entertainment CityのIRは374億7,000万ペソ(約5億7,460万米ドル、▲11.1%)。クラークのカジノは66億8,000万ペソ(前年71億2,000万ペソ) PAGCOR(GGRAsia)

2025年第3四半期の電子ウォレットとゲーミング・プラットフォームの分離(delinking)措置が、電子ゲーミング収入を大きく押し下げた。2026年第1四半期の電子ゲーミングは399億ペソ(▲22.4%)。

IRのGGR減少はホテル部門にも波及する。IRは高級客室・MICE施設の大口供給者であり、カジノ収入の縮小は客室単価と稼働の下押し要因になる。一方でPAGCORは、IRが観光回復を牽引したと主張しており、政府統計(PAGCOR開示)と業界の主張は分けて読む必要がある。


9. まとめ ── 2026年をどう読むか

  1. 航空は「機材は増やすが、いま飛ばす便は減らす」年である。PALはA350-1000を18機体制へ倍増させ787-10を最大20機発注し、セブパシフィックは最大152機のA321neo計画を抱える。しかし2026年の実運航は燃料高で減便・運休が続き、セブパシフィックの座席利用率は85.4%→81.2%へ低下した。
  2. 日本線は「冬に増、夏に減」の非対称。PALは2026年冬ダイヤで成田・関西をトリプルデイリー化し週最大87便へ拡大する一方、セブパシフィックは8月31日〜9月30日に日本線166便を欠航する。
  3. NAIAは民営化で処理能力を毎時40→48回へ引き上げつつ、ターボプロップを追放して大型機に特化した。その反射として、離島(コロン、エルニド、シアルガオ)へのアクセスはクラーク・セブ・イロイロ経由へ再編された。日本からの周遊行程を組む際、この構造変化を知らないと詰む。
  4. ホテルは供給増×需要弱の局面。メトロマニラに2,890〜4,500室が入る一方、2025年の訪問客は648万人と2019年の826万人に届かず、稼働率(全国約60%)とRevPARは2019年水準を回復していない。実質ADRはむしろ低下している。
  5. 制度面では、宿泊施設のDOT認定はRA 9593第39条により義務であること、民泊規制は法案段階(HB 3786)にとどまることを押さえておけばよい。


検証記録:本稿は 2026-08-26 に「産業外交4本」(農業各論と畜産/航空とホテル・リゾート産業/対中関係の各論/対米関係の各論)の横断検証を受けた。全件の検証記録表は代表ファイル「農業各論と畜産_v1.0_20260826.md」末尾の「## 検証記録(2026-08-26)」節に収録している。本稿に関わる追記は §7-3(米国が韓国を抜いた件=指標と出典の明記、DOT 系列の内部矛盾)と §1-3(Airbus 発表70機/社発表152機の別)。照合済み項目は C10・B3・B5。

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