放送・メディア史
フィリピンのメディアは「アジアで最も自由で、最も危険」と言われてきた。 この二つは矛盾ではなく、同じ構造の裏表である。 規制は検閲ではなく「フランチャイズ(議会が与える営業免許)」と「名誉毀損の刑事罰」という合法的な手段で効く。 2026年の最大の論点は、テレビでも新聞でもなく「ニュースへの信頼が48市場中で最大幅に落ちた」ことである。
0. 最初に押さえる7点
- フィリピンの放送は議会が個別の法律で与える「フランチャイズ」が前提。行政の裁量ではなく、立法府が生殺与奪を握る。この一点が他国と決定的に違う。
- 1972年の戒厳令で全メディアが物理的に閉鎖され、1986年に再開した。「一夜で全部消えた」記憶が業界の基層にある。
- 2020年、最大手 ABS-CBN がフランチャイズを失って停波。2026年現在も放送免許は回復していない。
- 地方ではラジオが依然として一次メディア。ジャーナリスト殺害の犠牲者が地方ラジオの解説者に集中するのは、それだけ影響力があるから。
- 2009年マギンダナオ虐殺(記者32人)は、報道関係者に対する単一事件として史上最悪(CPJ)。
- 2021年、マリア・レッサ(Maria Ressa)がノーベル平和賞。同時に、サイバー名誉毀損で有罪判決を受けたままである(2026年8月現在も最高裁係属中)。
- 注 現在の主戦場は Facebook と TikTok。 2026年、週次でニュースに接する経路としてテレビは42%まで落ち、SNS・動画が70%に達した(Reuters Institute)。
1. 年表 ── 押さえるべき節目
| 年 | 出来事 |
|---|---|
| 1922 | 米国人 Henry Herman(Hermann)が電気商社の50W送信機3台でマニラ/パサイの実験放送。同年、ニコルス飛行場から Mrs. Redgrave なる米国人女性が5Wで試験送信した記録もあり、「アジア初」を巡って諸説あり |
| 1924 | KZKZ(100W、1110kHz)が正式免許第1号。同年10月に Radio Corporation of the Philippines が買収 |
| 1929 | KZRC(Radio Cebu) ── マニラ以外で最初の局 |
| 1939 | KZRH 開局(H.E. Heacock 百貨店系)。戦後の DZRH |
| 1942–45 | 日本軍占領下。抵抗放送「Voice of Freedom」 |
| 1946 | James Lindenberg が Bolinao Electronics(後の ABS)設立 |
| 1950/03/01 | Robert "Uncle Bob" Stewart が Loreto F. de Hemedes Inc. 創業 → 6月14日に DZBB 開局(エスコルタのカルボ・ビル4階、中古機材と払い下げ送信機、580kHz・10kW)。後の GMA |
| 1953/10/23 | フィリピン初のテレビ放送(DZAQ-TV Channel 3/Alto Broadcasting System) |
| 1957 | ロペス家の CBN が ABS を買収 → ABS-CBN 成立。同年、マグサイサイ大統領の墜落死を DZBB が速報し名を上げる |
| 1961/10/29 | DZBB Channel 7 テレビ開始 |
| 1972 | 戒厳令。全メディアが物理的に閉鎖される |
| 1974 | RBS が GMA Radio-Television Arts(Greater Manila Area)に。ゴソン/ヒメネス/ドゥアビットの三頭体制へ |
| 1986 | ピープルパワー。放送再開・新聞創刊ラッシュ |
| 1992 | GMA が衛星ネットワーク化。1996年に GMA Network Inc. |
| 2009 | マギンダナオ虐殺(記者32人殺害) |
| 2010 | ISDB-T(日本方式)をデジタル方式として採択(2010年6月採用。§5参照) |
| 2012 | RA 10175(サイバー犯罪防止法)成立 |
| 2020 | ABS-CBN のフランチャイズ更新否決 |
| 2021 | マリア・レッサがノーベル平和賞 |
| 2024 | CNN Philippines 閉局/SMNI 無期限停止 |
| 2025 | Inquirer が印刷部門を整理し digital 統合/Manila Bulletin が印刷を3分の1削減 |
| 2026 | Cumpio 記者に有罪(1月)/上院が FOI 法案可決(5月)/メガマニラのアナログ停波予定(11月22日) |
2. 戒厳令 ── 「一夜で全部消えた」経験
1972年9月21日、マルコスが布告1081号に署名。翌22日の Letter of Instruction No.1 でメディアが一斉閉鎖された。
- Manila Times、Daily Mirror、Manila Chronicle、Manila Daily Bulletin、Philippines Herald、Philippine Free Press、Graphic、The Nation ── 通信社も含めて軍が施錠。
- Inquirer の集計では閉鎖されたメディアは計464(英字全国紙8、各種日刊18、地域紙60、テレビ66、ラジオ20、地方ラジオ292)。
- 逮捕された記者の筆頭はニノイ・アキノ。容疑は「破壊活動(subversion)」など。
生き残ったのは「クローニー(取り巻き)メディア」だけ
| 媒体 | 所有 | 顛末 |
|---|---|---|
| Daily Express | Roberto Benedicto | 戒厳令のわずか4か月前(1972年6月)創刊。9月25日に唯一発行され、部数と広告が急騰 |
| KBS(Kanlaon Broadcasting) | Benedicto | 布告読み上げの舞台。地方局を吸収 |
| Bulletin Today | ── | Manila Bulletin も1972年9月にいったん閉鎖されたが、同年11月22日に改題のうえ復刊を許された(=「閉鎖を免れた」のではなく「早期復刊を許された」)(2026-08-25 第2次相互照合で修正) |
| Business Day | ── | 継続を許された3紙の一つ。のちの BusinessWorld。同紙自身の社史は「戒厳令期(1972–1981)にマニラで唯一の独立系(independently owned)新聞だった」と記述する |
| ABS-CBN | ロペス家 | 接収され Benedicto の Banahaw Broadcasting へ |
| Channel 4 | ── | National Media Production Center が接収 → 後の PTV |
注(2026-08-25 第2次相互照合で整理)「唯一」という語を3か所で別々の意味に使っていたため、本稿内で矛盾して見えていた。次のように書き分けること。 - Daily Express = 布告直後(1972年9月25日)に唯一発行された新聞(ベネディクト所有=体制側)。 - Manila Bulletin = 他紙と同様にいったん閉鎖され、約2か月後の11月22日に「Bulletin Today」として復刊を許された。「唯一閉鎖を免除された」「戒厳令下で唯一存続した」は誤り。 - Business Day = 発行継続を許された3紙の一つで、独立系(政権のクローニーでない所有)としては唯一とされる。 つまり「発行が唯一だった時点(9月)」「唯一の独立系だったこと」「唯一閉鎖を免れたこと」は別々の命題であり、3番目は成立しない。
さらに制度面で締め上げられた:公報省令1号・2号(1972年9月25日、印刷にも事前許可)、大統領令36号(同11月2日、全メディアのフランチャイズを取消し、Mass Media Council が認可権を握る)、大統領令90号(1973年1月、流言の処罰)。
注 「戒厳令下でも新聞は出ていた」は事実だが、それは体制側の新聞だった。 ここを混同すると議論が噛み合わない。
対抗軸として非合法・半合法の「モスキート・プレス(Mosquito Press)」が存在した。1980年のカリンガ族指導者マクリイン・ドゥラグ殺害報道が、主流紙が押し返した最初の転機とされる。
3. 1986年 ── ラジオが革命を動かした
EDSA革命の情報インフラは新聞でもテレビでもなく、教会系ラジオ Radio Veritas(ラジオ・ベリタス、846kHz)だった。
- 1986年2月22日 21時、シン枢機卿が同局でエンリレ国防相・ラモス将軍の支援を市民に呼びかけた。
- ブラカン州マロロスの送信所が最初の標的となり破壊。2月24日20時には装甲車と機関銃を伴う部隊が施設を制圧。
- イエズス会士 James Reuter 神父が移転を差配し、サンタメサの DZRJ(AM 810kHz)を借りて 「Radyo Bandido(山賊ラジオ)」を開始。キャスターは June Keithley。
- オープニングに選挙歌「Mambo Magsaysay」を流して「放送は続いている」と示した。スタジオを支えたのは Reuter 神父の演劇ボランティア網の少年たち(当時13歳の Gabe Mercado ら)で、約14時間を回した。
- ラモス(後の大統領)は「民間放送が野戦部隊への命令を中継した軍史上初の例」と評し、Keithley を 「EDSA革命の元帥」と呼んだ。Keithley(1947–2013)はフィリピン・レジオン・オブ・オナー章を受けている。
ここから「ラジオ=生活と政治のインフラ」という感覚が定着する。
4. ABS-CBN ── 2020年の免許否決と、その後
何が起きたか
2020/05/04 25年の議会フランチャイズが期限切れ
2020/05/05 NTC(国家通信委員会)が停止命令 → 放送停止
2020/07/10 下院の立法フランチャイズ委員会が
70対11(棄権1・忌避2)で新フランチャイズ申請を否決
- 重要な順序:委員会の否決は、放送停止の2か月後。「議会が止めた」のではなく「まず止まってから、追認された」。
- 争点はガビー・ロペス会長の国籍、外資規制(PDR=比預託証券)、租税回避疑い、労務問題など。12日間の合同公聴会を経て、技術作業部会が決議を提出。
- 委員会は「フランチャイズは権利ではなく特権にすぎない」「報道の自由とは無関係」という論理を採った。
- 背景にはドゥテルテ大統領が同局の報道を繰り返し攻撃していた事実があり、CPJ・IFJ など国際団体は報道の自由への打撃と評価した。
雇用と経営への影響
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 免許喪失時のグループ従業員数 | 約11,000人(2020年) |
| 実際の離職・整理(労働雇用省 DOLE 集計) | 約5,955人(2022年12月時点) |
| 2019年の売上(Sky Cable 除く) | 332億ペソ |
| 2021年の売上(同) | 93億ペソ ← 底 |
| 2025年の売上(同) | 126億ペソ(免許喪失後で最高) |
| 2025年通年の純損失 | 47.2億ペソ(2024年は60.9億ペソ) |
| 2026年上半期の売上 | 68.8億ペソ(前年比▲17%)、純損失 18.3億ペソ |
| 有利子負債 | 205億ペソ → 85億ペソ弱(▲58%、資産売却が寄与) |
| 一般経費・人件費 | 2019年150億ペソ → 2025年 69億ペソ(▲54%) |
2026年、ロペス家と投資家が60億ペソ規模の資本注入を決めた。CEO カルロ・カティグバク(Carlo Katigbak)は「まだ目標地点ではない」としつつ黒字化への流れを強調している(2026年株主総会、Rappler/Manila Bulletin/Daily Tribune 報道)。
放送局からコンテンツ会社へ
2025年6月26日の株主総会で、ABS-CBN は「新フランチャイズの取得を追わない」と表明した。 理由は現実的で、旧来の送信周波数はすでに他社に割り当て済みで、全国ネットの再建はもう不可能というもの。以後は制作・配信に集中する方針。2026年上半期には売上の約84%がコンテンツ事業になった(Rappler 分析)。
注 第20議会(2025年7月〜)に ABS-CBN のフランチャイズ法案は一本も提出されていない(VERA Files ファクトチェック)。第19議会の5本(Salceda 提出の HB 11252 ほか)は会期終了で失効した。 注 SNS で定期的に流れる「ABS-CBN がチャンネル2で地上波復帰」という投稿は繰り返し虚偽と判定されている。
現在の配信経路(かなり複雑)
| チャンネル | 経路 |
|---|---|
| ABS-CBN sa ALLTV2 | ビリャール系 AMBS の無料放送枠(2026年〜) |
| Kapamilya Channel | ケーブル・衛星(有料) |
| A2Z | ZOE Broadcasting(宗教系)の周波数を借りる無料放送 |
| ANC | ニュース専門(有料) |
| TFC / iWantTFC | 海外向け・配信 |
| DZMM Radyo Patrol 630/DZMM TeleRadyo | 後述 |
| YouTube | 登録者5,500万人超。東南アジアのメディア・エンタメ系で最多 |
2021〜2025年は TV5 とのブロックタイム提携が主軸だったが、2025年12月に TV5 側が5年契約を解除通告(広告収益分配金の未送金が理由と説明)。2026年1月1日が TV5 での最終日となった。
受け皿になったのが、マニー・ビリャール(Manny Villar)系 AMBS の ALLTV。 2026年1月2日から Kapamilya Channel 番組(『FPJ's Batang Quiapo』『It's Showtime』『ASAP』『TV Patrol』など)を放送。3月16日に枠名が「ABS-CBN sa ALLTV2」へ改称され、アナログ2ch/デジタル16ch に「ABS-CBN」の名が約6年ぶりに戻った。
注 皮肉な事実:ALLTV が使う「チャンネル2」の周波数は、もともと ABS-CBN のものだった(2022年に AMBS が取得)。
なお2026年半ばには TV5 との関係が部分的に復活し、ABS-CBN 制作ドラマが TV5 で、TV5 番組が ALLTV 枠で流れる相互乗り入れも報じられている。この業界は「敵対と提携」が短期間で反転する。
5. テレビ各局の現在地
| 局 | 系統 | メモ |
|---|---|---|
| GMA Network(Kapuso) | 民放 | 1950年創業、2025年に創業75周年。ゴソン(Gozon)/ヒメネス(Jimenez)/ドゥアビット(Duavit)3家の共同支配。2020年以降の一人勝ち |
| TV5(Kapatid) | MediaQuest/MVP系 | ABS-CBN 提携解消の影響を強く受けた |
| PTV-4 | 政府(大統領広報室 PCO 傘下) | 1974年 GTV-4 → 1980年 MBS → 1986年 PTV。1992年 RA7306、2013年 RA10390 で改組 |
| IBC-13 / RPN-9 | 政府(接収資産) | マルコス不正蓄財として接収。民営化は長期停滞 |
| ALLTV / ALLTV2 | AMBS(ビリャール系) | ABS-CBN 番組の主要な無料放送先(2026年〜) |
| A2Z | ZOE(宗教系)+ABS-CBN | ブロックタイム |
| NewsWatch Plus | RPN | CNN Philippines 撤退後の後継(2024年7月ソフト開局) |
視聴シェア(Nielsen NUTAM 報道値)
| 期間 | GMA | TV5 | その他 |
|---|---|---|---|
| 2025年通年 | 到達率 86.2%(約6,200万人) | ── | ── |
| 2026年上半期 | 45.8%、上位50番組中27本が GMA | 急落(前年15.5%から) | PTV 12.5%/注IBC 10.2%(下記参照) |
注 局別数値は業界系サイト経由の報道値が多く、一次資料での確認は未了。 傾向(GMA優位・TV5低下)は複数報道で一致している。
注(2026-08-25 相互照合で併記)同じ「2026年上半期 NUTAM」について、分野内資料「スポーツ・音楽・大衆文化」§9-2 は3位以下を次のように記載しており、本稿と食い違う。
| 順 | 本稿(放送・メディア史) | スポーツ・音楽・大衆文化 §9-2 |
|---|---|---|
| 1 | GMA 45.8% | GMA 45.8%(一致) |
| 2 | PTV 12.5% | PTV 12.5%(一致) |
| 3 | IBC 10.2% | GTV(GMA系)9.6% |
| 4以下 | ── | ALLTV2 6.7%/A2Z 5.4% |
GMA 45.8% と PTV 12.5% は両資料で一致しているが、3位の局名と数値が違う。注 2026-08-25時点で Nielsen の一次資料に到達できず、どちらが正しいかは未確認。出所により数値が異なるものとして両方を残す。引用時は「GMAが45.8%で独走、PTVが12.5%で2位」までを確定的に扱い、3位以下は幅で示すこと。(留意点:IBC-13 は政府接収資産で自社制作が乏しく、GMA系サブチャンネルのGTVを上回る10.2%という水準には説明が要る。)
政府系メディアの規模感
- 2026年予算法で PTV-4 への配分は 1億3,676万ペソ(2025年の2億1,526万ペソから▲36.5%)。PCO 全体では27.1億ペソ。上院審議では施設の老朽化が批判された。
- PTV・IBC はいずれも政府補助金への依存が高い。Media Ownership Monitor は PCO を「大統領府のプロパガンダ部門」と表現している。
- 2026年6月、マルコス大統領が Lino Edgardo Cayetano を PTV の General Manager に任命。定款上は理事会が互選する建付けであるため、手続き面が論点になった。
アナログ停波(2026年11月22日)
- NTC Memorandum Circular No. 005-11-2025(2025年11月21日発効)で、メガマニラ(NCR+ブラカン、リサール、ラグナ、カビテ、パンパンガ、バターン)のアナログ停波を12か月以内と規定。目標日 2026年11月22日。延長は60日前までの書面通知が必要。
- 方式は日本と同じ ISDB-T(2010年6月採用)。当初期限は2015年末で、その後 DICT が2023年に設定するなど何度も延期されてきた。全国完了目標は2028年とされる。
- 当該地域では2024年12月時点で約80%のテレビ世帯がデジタル受信可能。VHF帯の局は8年以上サイマル放送を続けてきた。
- 低所得世帯向けに「Bagong Pilipinas デジボックス」の補助制度がある。
- ISDB-T の緊急警報放送(EWBS)が、災害多発国として採用理由の一つ。
6. ラジオ ── いまも一次情報の中心
| 局/ネットワーク | 特徴 |
|---|---|
| DZRH(666kHz、MBC/エリサルデ家系) | 1939年開局。現存最古の民放。2025年Q3・Q4の Kantar Media 調査でメガマニラAM首位 |
| Bombo Radyo Philippines | 地方密着型の全国ネット。姉妹FMは Star FM。地方では Bombo が首位を取る市場が多い |
| DZMM Radyo Patrol 630 / DZMM TeleRadyo | ABS-CBN の看板AM。下記参照 |
| DZBB(Super Radyo) | GMA系 |
| Radio Veritas | カトリック教会系。1986年の主役 |
| Radyo Pilipinas(DZRB) | 政府系(PBS) |
| DWIZ、DZRJ ほか | ── |
Kantar Media の Radio Diary–CATI 調査(2025年9月13〜21日、420世帯/推計人口2,248万人)によると、メガマニラ人口の約57%(約1,294万人)が調査週にAMラジオを聴取し、平均聴取は1日約3時間・週20時間だった。「ラジオはもう古い」という前提でフィリピンを見ると外す。
DZMM の迷走(知らないと混乱する)
~2020/05 DZMM 630kHz(ABS-CBN)
2020/05 NTC停止命令で停波 → 3日後「TeleRadyo」として映像・配信のみで継続
2023/06/30 ABS-CBN単独運営を終了 → 下院議長ロムアルデス系 Prime Media
(子会社 Philippine Collective Media Corp.)との合弁
「Media Serbisyo Production Corp.」へ
630kHzは「DWPM Radyo 630」、テレビ側は「TeleRadyo Serbisyo」
2024/05/27 Prime TV の枠でデジタル無料放送に復帰
2025/05/29 ブランド回帰。「DZMM Radyo Patrol 630」「DZMM TeleRadyo」に戻す
ノリ・デ・カストロ、チャロ・サントス、ドリス・ビゴルニアら往年の顔ぶれが復帰した。ただし合弁の一角が現職政治家(当時の下院議長マルティン・ロムアルデス)系企業である点は、独立性の観点から論点であり続けている。
7. 新聞 ── 英字ブロードシートとタブロイド
| 紙名 | 創刊 | メモ |
|---|---|---|
| The Manila Times | 1898年10月11日 | 現存最古の英字紙。米西戦争終結の報を受け英国人 Thomas Gowan が創刊 |
| Manila Bulletin | 1900年2月2日 | 海運業界紙として出発。1957年に Hans Menzi、1984年以降は Emilio Yap(華人系)へ。戒厳令下では1972年11月22日に「Bulletin Today」として復刊を許された(〜1986年3月10日) |
| BusinessWorld | 1967年(Business Day として)/1987年に現名称 | 最古の日刊経済紙。戒厳令下でも発行を許された3紙の一つ |
| Philippine Daily Inquirer | 1985年12月9日 | Eugenia Apostol、Betty Go Belmonte、Max Soliven が創刊。EDSA報道で地位を確立。"Balanced News, Fearless Views" |
| The Philippine Star | 1986年7月28日 | Soliven、Go-Belmonte、Art Borjal が創刊。Inquirer 創刊メンバーが割れて生まれた |
| BusinessMirror | 2005年 | Cabangon-Chua 系 |
紙の縮小は2025年に一段深くなった
| 事例 | 内容 |
|---|---|
| Philippine Daily Inquirer | 2025年7月1日付で紙とデジタルを統合。印刷部門の編集要員を整理し、発行主体を Inquirer Interactive Inc. へ |
| Manila Bulletin | 印刷を約3分の1削減。2025年Q1の総収入は1億4,552万ペソ(▲30%)、新聞販売は約半減の6,500万ペソ。中間選挙の広告特需が来なかった。ただし黒字は維持 |
| Baguio Midland Courier | 北部ルソン最古の地方紙が休刊。地方ジャーナリズムの後退の象徴 |
信頼・到達(Reuters Institute Digital News Report 2025):ブロードシートで到達最大は Inquirer(週次25%)、信頼度も63%で最上位。媒体全体では GMA News に次ぐ第2位だった。
タブロイドの規模を過小評価しない
英字ブロードシートより、タガログ語タブロイドの方が売れてきた。 例:Pilipino Star Ngayon の2012年部数は 502,083 に対し、姉妹紙 The Philippine Star は 262,285(月〜土)。同じ会社の中で母語紙が英字紙の倍近く出ていた。
- Abante(1987年5月27日創刊、Prage Management)/Abante Tonite(1989年、芸能・都市生活寄り)
- Bulgar(Nielsen 2017年調査を根拠に「読者数No.1」を主張)
- Pilipino Star Ngayon(1986年、Betty Go-Belmonte 創刊。フルカラー印刷とウェブ進出はタブロイド初)
- Balita(Bulletin系)、People's Journal/People's Taliba、Tempo、Pang-Masa、Pilipino Mirror、Banat(セブアノ語)
- Inquirer Bandera(1990年創刊、2020年7月5日に紙版終了 → オンラインのみ)
注 部数の監査済み数値はほとんど公開されておらず、流通する数字は2012〜2017年前後のものが多い。以後の減少幅は大きい。
8. 危険 ── 「最も自由で最も危険」の実体
2009年 マギンダナオ虐殺(Ampatuan massacre)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 日付 | 2009年11月23日 |
| 死者 | 58人。うち報道関係者32人 |
| 位置づけ | 報道関係者に対する単一事件としては史上最悪(CPJ) |
| 判決 | 2019年12月19日、ケソン市地裁221部。アンパトゥアン兄弟ら28人を殺人57件で有罪(reclusion perpetua/40年)、15人は従犯(6〜10年)、55人は無罪 |
| 注 なぜ「57件」か | 遺体が発見されなかった Reynaldo "Bebot" Momay 記者が罪状から外れたため。遺族は「58人目」として認定するようCAに求めている(2025年11月) |
| 上訴の現状 | 主要有罪判決の統合上訴は、2025年末時点で控訴裁判所(CA)に係属したまま未決着。19人の遺族が「16年待った」として早期処理を要請 |
| 逆方向の確定 | 2025年、最高裁が Datu Akmad "Tato" Ampatuan の無罪を確定(一事不再理)。他方 CA は検問所警官 SPO2 Bakal について、地裁の「重大な裁量権濫用」を理由に無罪を覆して有罪とした例もある |
| 未解決点 | 起訴対象は197人。首謀者とされた父アンダル・シニアは2015年に勾留中に死亡。多数の容疑者が未逮捕 |
殺害件数と免責(インピュニティ)
- 1986年の民主化以降、200人超のジャーナリストが殺害された(RSF)。多くが未解決。
- CPJ は1992年以降の殺害を集計しており、フィリピンは世界有数の多発国。CPJ の Global Impunity Index では2024年版で世界9位(対象期間2014年9月〜2024年8月、未解決殺人18件/人口1億1,730万人)。2020年版で「最大の改善国」とされたが、その主因はマギンダナオ虐殺が10年の集計期間から外れたことであり、実態の改善ではない。
- マルコス・ジュニア政権下(2022年6月〜):NUJP(全国ジャーナリスト連合)は2026年7月27日時点で報道の自由に対する侵害256件を記録(2026年5月の242件から約6%増)。被害は個人250・媒体75の計325。
- 加害者内訳:政府関係者58件、治安機関54件、個人61件、民間組織31件、不明50件超。
- 類型:殺害12人、嫌がらせ80、レッドタギング約40、サイバー攻撃19、名誉毀損・サイバー名誉毀損14件。
- 地域:ルソン202、ビサヤ51、ミンダナオ30、海外6。
- 2026年は8月までに3人が殺害(Julio Calo/DNN News FM、RJ Nichole Ledesma/Paghimutad-Negros、Nestor Micator/D'Empire Radio)。Ledesma は2026年4月、ネグロス・オクシデンタル州トボソでの軍事作戦中に死亡し、NUJP は「戦闘員だった」との説明に反論している。
- 2016年設置の PTFoMS(大統領メディア安全タスクフォース)について、RSF は「暴力の連鎖を止められていない」と評価。
- 2026年3月、マルコス大統領自身が KBP(フィリピン放送協会)の宣誓式で「フィリピンは依然としてジャーナリストにとって最も危険な場所の一つだ」と述べている。
レッドタギングと「法の武器化」── Cumpio 事件
- Frenchie Mae Cumpio 記者(Eastern Vista 代表、Aksyon Radyo Tacloban キャスター)は2020年2月7日に「タクロバン5」として逮捕。
- 2026年1月22日、タクロバン地裁45部が RA 10168(テロ資金供与防止法)第8条(ii)違反で有罪、懲役12〜18年。 銃器・爆発物不法所持については無罪。フィリピンで記者がテロ資金供与で有罪となった初の例とされる。
- 注 無罪となった側(保釈不可の銃器罪)が消えた結果、保釈の余地がなくなり、2026年2月に保釈却下。CPJ は「著しく残酷で不当」と批判。16か国の在比大使館が懸念を表明し、国連表現の自由特別報告者イレーヌ・カーンも報復的訴追の疑いを指摘した。弁護側は控訴中。
- レッドタギングは2024年に最高裁が「生命・自由・安全への脅威」と判示したが、NTF-ELCAC は存続。名誉毀損に加えデータプライバシー法も圧力手段として使われる、と NUJP は指摘する。
9. Rappler、マリア・レッサ、サイバー名誉毀損
RA 10175(2012年サイバー犯罪防止法)
| 論点 | 内容 |
|---|---|
| 条文 | 第4条(c)(4) ── 刑法355条の名誉毀損をコンピュータ・システム経由で行った場合を犯罪化。量刑は通常の名誉毀損より一段重い |
| 合憲判断 | Disini, Jr. v. Secretary of Justice(G.R. No. 203335 ほか、2014年2月11日)で第4条(c)(4)〈サイバー名誉毀損〉は合憲。ただし「幇助」条項(第5条)は名誉毀損については無効 → 「いいね」や単なるコメントでは原則問われない。責任は原著者のみ |
| 違憲無効となった条項 | (2026-08-26 追記)同判決は RA 10175 の3か条を全面的に違憲無効とした──①第4条(c)(3)(unsolicited commercial communications=スパム。表現の自由に反する)、②第12条(トラフィックデータのリアルタイム収集。特定性を欠きプライバシーを侵害)、③第19条(コンピュータデータへのアクセスの制限・遮断=いわゆる takedown 条項。令状なしに DOJ が遮断を命じうる点が令状主義と表現の自由に反する)。また第5条(幇助・未遂)は、第4条(c)(2)〈児童ポルノ〉・第4条(c)(3)・第4条(c)(4)に適用される限りで違憲。注「フィリピンでは DOJ が RA 10175 第19条でサイトを遮断できる」と書くのは誤り(出典:最高裁 E-Library 掲載 G.R. No. 203335 全文 https://elibrary.judiciary.gov.ph/thebookshelf/showdocs/1/56830/Columbia Global Freedom of Expression 判例データベース) |
| 注 時効 | Causing 事件で最高裁は「1年」と判断(2023年)。ネット上には12年・15年を前提にした古い解説が残っており要注意 |
| 改正の実績 | (2026-08-26 改正確認)RA 10175 は一度だけ「部分廃止」されている。RA 11930(Anti-OSAEC・CSAEM法、2022年7月30日に署名なしで法律化)の廃止条項が、RA 10175 第4条(c)(1)(児童ポルノ関連)と RA 9775(反児童ポルノ法)を廃止した。注サイバー名誉毀損の第4条(c)(4) は存置であり、レッサ/Rappler 事件の根拠条項は今も生きている。OSAEC事件では RA 11930 が RA 10175 第15・16条(令状・データ保管)の特則を置く(出典:RA 11930 廃止条項/DOJ 掲載 RA 11930 IRR) |
| 改正論議 | 名誉毀損の非犯罪化(民事化)法案が継続審議中。2026年8月時点で、RA 10175 の名誉毀損条項を改正した共和国法は成立していない(第20議会の HB 1333・HB 2249 はいずれも法案段階) |
レッサ/Rappler の現況(2026年8月時点)
| 案件 | 状態 |
|---|---|
| サイバー名誉毀損(2012年記事、2014年再掲、2019年提訴) | 2020年6月に有罪、2022年10月に控訴裁が是認し刑期を加算。最高裁で係属中 |
| 政府側の異例の動き | 2026年3月6日付(3月9〜10日公表)で訟務長官(Solicitor General)Darlene Berberabe が最高裁に「無罪とすべき」との意見書を提出。理由は Causing 判例による時効(1年)の徒過 |
| 外資所有(証券法違反) | 2025年に無罪 |
| 脱税 | 2023年1月に租税裁判所が無罪、2025年2月に確定 |
| アンチ・ダミー法(パシッグ) | 無罪 |
- 争点の記事は「実業家 Wilfredo Keng が当時のコロナ最高裁長官に車を貸した」という2012年5月の記事。同法の施行は2012年9月で、記事公開の4か月後という遡及適用の問題が核心の一つ。
- 2017年以降、Rappler・レッサらに提起された訴訟は計23件。
- 2021年ノーベル平和賞(ロシアのドミトリー・ムラトフと共同受賞)。
- 国際団体(CPJ、ICFJ、RSF、IBAHRI、PEN International)と国連表現の自由特別報告者が最高裁に意見書を提出している。
10. 報道の自由度ランキング(RSF 世界報道自由度指数)
| 年 | 順位 | スコア |
|---|---|---|
| 2025 | 116位/180 | 49.57 |
| 2026 | 114位/180 | 46.79 |
注 「順位が上がった=改善した」ではない。スコアは 49.57 → 46.79 に悪化している。 他国の悪化幅の方が大きかったため、相対順位だけが2つ上がった。 PTFoMS は「21年ぶりの高順位」と発表したが、Rappler や Philstar はこの読み違いを明示的に指摘した。
2026年の指標別内訳(カッコ内は順位)
| 指標 | 2026 | 2025 |
|---|---|---|
| 政治 | 39.19(113位) | 39.62 |
| 経済 | 34.50(131位) | 39.58 |
| 法制 | 49.20(118位) | 52.40 |
| 社会 | 57.05(96位) | 54.69 |
| 治安 | 54.03(117位) | 61.57 |
経済指標が全項目で最低(131位)。治安スコアは7ポイント以上下落し、最悪区分(「非常に深刻」)まで約6ポイントの位置にある。
RSF が挙げた要因:名誉毀損の刑事罰とサイバー名誉毀損の重罰化、テロ関連容疑の濫用(Cumpio 事件を名指し)、免責の常態化(マギンダナオ虐殺を例示)、所有集中と政治家一族の関与(マルコス大統領のいとこである元下院議長マルティン・ロムアルデスの影響力拡大を「いっそう懸念される」と表現)。
世界全体でも2026年は「指数25年の歴史で初めて、半数超の国が『困難』『非常に深刻』に区分された」年である。
11. 所有構造 ── ここが「自由なのに脆い」根っこ
RSF と VERA Files の Media Ownership Monitor(MOM)(2016年実施/2024年5月に更新版を公表)による分析:
- 対象は最も影響力のある46媒体。2社の巨大放送ネットワークだけで視聴者の80%超に到達していた(2016年時点の ABS-CBN/GMA 複占)。
- 上位4社ベースの集中度で、テレビ・ラジオ・オンラインは「高リスク」、印刷のみ低集中。
- 「所有構造は表面上は合法だが、法人の重層化により外資規制や税務で抵触が生じている」と指摘。
- 世襲的なメディア一族:ロペス家(ABS-CBN)、ベルモンテ家(Philippine Star)、エリサルデ家(MBC/DZRH)、プリエト=ルフィノ家(Inquirer)、ドゥアビット/ゴソン/ヒメネス(GMA)、マニー・パンギリナン(MediaQuest→TV5)、ビリャール家(AMBS/ALLTV)。
- 2014年の公正競争法で公正競争委員会(PCC)はあるが、メディア所有集中に特化した規制は乏しい。
マルコスが1972年に全局を閉鎖し、1986年後に一部が返還されて復活し、2020年に再び最大手が止まった ── この循環そのものが、この国のメディア史である。
12. 近年の閉鎖・停止事例(2024年以降)
| 事例 | 内容 |
|---|---|
| CNN Philippines | 2024年1月31日で全面停止。運営は Nine Media(ALCグループ)。累積損失は50億ペソ超と報道され、約300人が職を失った。2022年の選挙特需が来なかった(広告費がインフルエンサーへ流れた)ことが決定打とされる |
| SMNI(Apollo Quiboloy 系 Swara Sug Media) | 2023年12月21日に NTC が30日間の業務停止 → 従わなかったとして2024年1月18日付で無期限停止。発端は司会者による「ロムアルデス下院議長が外遊に18億ペソ」という虚偽発言。2024年3月20日、下院が284対4でフランチャイズ取消法案(HB9710)を三読通過。注 ただし上院の同意と大統領署名がなければ取消は成立せず、2026年8月時点で法律にはなっていない。行政処分(NTC)と立法上の取消は別物である |
フランチャイズ制度は、政権が誰であれ「気に入らない放送局を止められる装置」として機能してしまう ── これが ABS-CBN と SMNI の共通の教訓である。NUJP は SMNI の停止についても「歓迎すべきではない」と、先例化のリスクを警告した。
13. 情報流通の現在 ── SNSへの移行と信頼の崩落
Reuters Institute Digital News Report 2026(オックスフォード大/YouGov、48市場・9.7万人、比国内サンプル2,021人)より:
| 指標 | 2025 | 2026 |
|---|---|---|
| 「ニュースをおおむね信頼する」 | 38% | 28%(▲10ポイント、48市場中で最大の下落幅) |
| ニュース源としての Facebook | 65% | 79% |
| 同 YouTube | 50% | 45% |
| 同 TikTok | 29% | 33% |
| Facebook でニュース動画を見る | 58% | 66% |
| TikTok でニュース動画を見る | 30% | 36% |
週次接触率の地殻変動(2020年→2026年)
| 経路 | 2020 | 2025 | 2026 |
|---|---|---|---|
| SNS・動画 | ── | 66% | 70%(唯一の伸び) |
| テレビ | 66% | 46% | 42% |
| ニュースサイト・アプリ | 60% | 50% | 42% |
| ラジオ | 25% | 17% | 14% |
| 印刷 | 22% | 13% | 10% |
- 世界平均の信頼度37%(統計開始2015年以降で最低)を下回り、48市場で最下位級。
- フィリピンの信頼度は 2020年27% → 2025年38% → 2026年28% と、5年かけて積み上げた回復が1年で消えた。
- 3人に2人がクリエイター/インフルエンサー経由でニュースに触れる。ニュース系クリエイターの動画を週内に視聴した人は36%、時事に触れるライフスタイル系をフォローする人は46%。
- 51%が「ニュースを意図的に避けることがある」と回答。
- 2025年版では偽情報への懸念が67%(過去最高)で、対象は Facebook 68%(世界平均49%を大きく上回る)。
14. 制度・法整備の現在地
| 項目 | 状態(2026年8月) |
|---|---|
| 情報公開(FOI) | 2026年5月4日、上院が「People's Freedom of Information Act」(SB 1432)を22対0で三読可決。対象は行政・立法・司法の三権、憲法機関、地方自治体、GOCC、国立大学まで。大統領・副大統領・閣僚・議員・最高裁判事・将官級のSALN公開義務も含む。Right to Information Commission を新設する構想 |
| 注 ただし未成立 | 下院版(Right to Information Act)は委員会通過段階で、両院協議会(bicam)が必要。LEDAC は2026年6月成立を目標としていたが達成されていない。現行の運用根拠は依然として2016年の大統領令第2号(行政府のみ、除外166項目) |
| 名誉毀損の非犯罪化 | 法案審議中(民事責任への転換案)。成立に至らず。国連特別報告者カーンの勧告項目 |
| レッドタギング | 2024年に最高裁判例あり。NTF-ELCAC は存続 |
| デジタル移行 | 2026年11月22日にメガマニラでアナログ停波予定。全国は2028年目標 |
15. 日本から見るときの実務メモ
- テレビ広告を打つなら GMA が事実上の第一選択。 ただし地方到達はラジオ(Bombo Radyo、DZRH)とのセットで考える。さらに2026年は Facebook 動画と TikTok を外すと届かない。
- 「ABS-CBN は潰れた」は正確でない。 放送免許を失っただけで、制作・配信・音楽(BINI)・映画(Star Cinema)では存在感がある。ただしどのチャンネルで番組が流れているかは1〜2年で変わるので、資料の日付を必ず確認すること。
- 英字紙だけ読むと世論を読み違える。 タガログ語タブロイドとラジオ、そして Facebook/TikTok が大衆の情報環境である。
- 注 オンラインでの批判的発信には刑事責任のリスクがある(サイバー名誉毀損)。時効は1年という最高裁判断があるが、レッサ事件は最高裁で係属中。法務判断は現地弁護士に確認すること。
- 取材・撮影で地方に入る場合、記者への暴力は「政治家一族と地方ラジオ」の対立軸で起きることが多い。 選挙期・地方政治の文脈を把握してから動く。
- 2026年11月以降、メガマニラではアナログテレビが映らなくなる。 現地オフィスや社宅の受信環境(ISDB-Tチューナー/セットトップボックス)を先に確認しておくとよい。