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年表・2016〜2026の10年 ── フィリピン現代史クイックリファレンス

情報基準日:2026-08-26 / 分野:歴史


0. この10年の全体像(5期区分)

期間 政権 一言でいうと 支配的な争点
第1期 2016.6–2019.12 ドゥテルテ前期 麻薬戦争と対中接近 麻薬戦争、ミンダナオ戒厳令、南シナ海仲裁裁定の「棚上げ」
第2期 2020.1–2022.6 ドゥテルテ後期 COVID-19 と統制強化 パンデミック、反テロ法、ABS-CBN 免許不許可、ICC 捜査
第3期 2022.6–2024.12 マルコス前期 対米回帰と「ユニチーム」崩壊 EDCA 拡大、日比 RAA、南シナ海での放水砲事件、マルコス=ドゥテルテ決裂
第4期 2025.1–2025.12 マルコス中期 弾劾・ICC・治水汚職の年 サラ副大統領弾劾、ドゥテルテ ICC 移送、治水事業汚職スキャンダル
第5期 2026.1–現在 マルコス後期 中東紛争ショックと第2次弾劾 中東戦争(2026年2月28日〜)、石油・物価・ペソ、第2次弾劾裁判、ICC 本裁判

本資料の 2016〜2024 年分は、定着した公知の事実に基づく整理である。2025〜2026年分は今回の作業で個別に原典・報道を取得して確認した。一次確認を経ていない項目には「未確認」を付した。


1. ドゥテルテ政権(2016年6月30日〜2022年6月30日)

1-1. 2016年

日付 出来事
5月9日 大統領選。ロドリゴ・ドゥテルテ(Rodrigo Roa Duterte)当選(得票率約39%の相対多数)。副大統領はレニー・ロブレド(Leni Robredo)得票率は概数
6月30日 大統領就任。就任直後から「オプラン・トクハン(Oplan Tokhang)」=麻薬戦争が始動
7月12日 常設仲裁裁判所(PCA)が南シナ海仲裁判断。中国の「九段線」に法的根拠なしと判断。ドゥテルテは「棚上げ」を選択
8月22日 上院が麻薬戦争の超法規的殺害に関する公聴会開始(レイラ・デリマ/Leila de Lima 主導)
9月2日 ダバオ市ロハス・ナイトマーケット爆破事件 → 「無法状態(state of lawless violence)」宣言
10月18–21日 訪中。「米国との決別(separation from the United States)」発言
11月18日 故マルコス元大統領の英雄墓地(Libingan ng mga Bayani)埋葬

1-2. 2017年

日付 出来事
2月24日 デリマ上院議員逮捕(麻薬関連容疑)。以後長期勾留
5月23日 マラウィ包囲戦(Marawi Siege)勃発。同日、布告216号でミンダナオ全域に戒厳令
8月16日 17歳キアン・デロスサントス(Kian delos Santos)射殺。麻薬戦争批判の転換点
7月22日/12月13日 議会がミンダナオ戒厳令を2017年12月31日まで第1次延長(7月22日の上下両院特別合同会議、両院決議10号/賛成261・反対18内訳は上院16対4(出席20)/下院245対14(出席259))/2018年末まで第2次延長(12月13日)。2018年12月12日に2019年末までの第3次延長 (2026-08-26 検証で第1次延長を追記。分野内資料「年表・通史クロノロジー」§11と統一。2026-08-26 出典衛生工程で票数を訂正 ── 旧稿の「上院16・下院261」は誤りで、261は両院合計、下院は245である。出典:下院公式プレスリリース congress.gov.ph/press/details.php?pressid=10144Inquirer「Congress votes 261-18 to extend Mindanao martial law 'til year's end」2017年7月22日Rappler「LIST: How the 17th Congress voted on the martial law extension」
10月17日/10月23日 ドゥテルテ大統領が「マラウィ解放」を宣言(10月17日)/ロレンザーナ国防相が戦闘終結を宣言(10月23日)。市街地はほぼ壊滅 (2026-08-26 検証で2段階に分離。同日の再検証で年表内の日付順も修正。2026-08-26 出典衛生工程で一次資料に差し替え:①10月17日=大統領府 PCOO 公式発表「President Duterte declares liberation of Marawi City」〈pcoo.gov.ph/ops.gov.ph〉。第7回マラウィ訪問時の演説で "I hereby declare Marawi City liberated from the terrorist influence that marks the beginning of rehabilitation for the people"。②10月23日=Rappler「Marawi combat operations over – Lorenzana」。パンパンガ州クラークのASEAN関連安保会合の場でロレンザーナ国防相が "After 154 days of the siege of Marawi ... we now announce the termination of all combat operations in Marawi" と表明。17日時点では戦闘は継続しており、23日に残存勢力42人の遺体を収容して終結宣言に至った)
12月19日 税制改革第1弾 TRAIN 法(RA 10963)署名。2018年1月1日施行 → 燃料・砂糖飲料課税で物価上昇

1-3. 2018年

日付 出来事
3月17日 ICC(国際刑事裁判所)ローマ規程からの脱退を国連に通告 → 1年後の2019年3月17日に発効
4月26日–10月26日 ボラカイ島(Boracay)を「汚水溜め(cesspool)」として6か月閉鎖・環境再生
7月26日 バンサモロ基本法(Bangsamoro Organic Law/RA 11054)署名
通年 インフレ加速(2018年のピークは前年比6%台)。TRAIN と世界的原油高が要因 数値は年平均でなくピーク月

1-4. 2019年

日付 出来事
1月21日・2月6日 バンサモロ住民投票(2段階)
2月14日 コメ関税化法(Rice Tariffication Act/RA 11203)署名。輸入自由化で米価下落・農家打撃
2月20日 ユニバーサル・ヘルスケア法(RA 11223)署名
3月29日 BARMM(バンサモロ自治政府)発足、暫定政府開始
5月13日 中間選挙。上院改選12議席を与党系がほぼ独占し、野党「オトソ・ディレット(Otso Diretso)」が全敗
6月9日 リード堆(Recto Bank/Reed Bank)で中国船が比漁船に衝突・逃走。乗員22人をベトナム船が救助
12月19日 アンパトゥアン(マギンダナオ)虐殺事件(2009年11月23日、犠牲者58人)判決。ケソン市地方裁判所がアンパトゥアン兄弟を57件の殺人で有罪・終身刑(58人目の遺体が未発見のため訴因は57件)。報道関係者の犠牲は32人説と34人説があり、団体により12人・20人と数える例もある(2026-08-26 検証で注記追加)(2026-08-26 出典衛生工程で一次資料に差し替え・内訳を訂正)。判決はケソン市地方裁判所第221支部(ホセリン・ソリス=レイエス判事)、宣告はタギッグ市ビクタンのバゴン・ディワ収容所内で行われた。761ページの判決。正犯として有罪=28人(57件の殺人、アンダル・アンパトゥアンJr.とザルディ・アンパトゥアンは終身刑・仮釈放なし)/従犯(accessories)として有罪=約15人(警察官を含む、禁錮6〜10年)/無罪=55人。損害賠償 総額約1億3,000万ペソ。逃亡中の80人に逮捕状。 旧稿の「共犯28人に禁錮40年」は誤りで、28人は「正犯」であり、その量刑は終身刑(reclusion perpetua、最長40年で仮釈放審査)である。 CPJ は記者・メディア関係者32人が殺害され「報道史上最悪の単一事件」としている。(出典:Rappler「DOCUMENT: Full decision on Ampatuan massacre case」(判決文全文)Philstar 2019年12月19日CPJ 2019年12月PNA「2019: From judgment to justice」

1-5. 2020年(COVID-19)

日付 出来事
1月12日 タール火山(Taal Volcano)噴火。ルソン南部に広範な降灰
1月30日 国内初の COVID-19 確認例
3月16日 ルソン島全域「強化コミュニティ隔離(ECQ)」開始。世界最長級のロックダウンへ
3月24日 Bayanihan to Heal as One Act(RA 11469)成立、大統領に特別権限
7月3日 反テロ法(Anti-Terrorism Act/RA 11479)署名。多数の違憲訴訟
7月10日 ABS-CBN の放送免許(franchise)更新を下院委員会が否決(70対11)。最大民放が地上波停波
11月11–12日 台風ユリシーズ/Vamco。マニラ首都圏・カガヤン渓谷で大規模洪水

1-6. 2021年〜2022年前半

日付 出来事
2021年3月26日 CREATE 法(RA 11534)署名。法人税を30%→25%に引き下げ
2021年6月14日 ICC 検察官(当時 Bensouda)が麻薬戦争の正式捜査開始を請求
2021年9月15日 ICC 予審裁判部が捜査を許可
2021年12月16日 台風オデット/Rai(Odette/Rai)。ビサヤ・ミンダナオ北部で数百人が死亡
2022年5月9日 大統領選。フェルディナンド・「ボンボン」・マルコス Jr.(Ferdinand "Bongbong" Marcos Jr.)が圧勝、サラ・ドゥテルテ(Sara Duterte-Carpio)が副大統領。「ユニチーム(UniTeam)」体制
2022年6月30日 マルコス大統領就任

1-7. 麻薬戦争の数字(出典で大きく食い違う)

指標 数値 年・出典
警察作戦中の死者(政府集計) 6,252人(2022年5月時点) ICC が捜査根拠とした政府統計、2025年3月11日 Rappler 報道
「自警団型」を含む全体推計 27,000〜30,000人 人権団体推計(同上報道が引用)
2025年の「無血麻薬戦争」下の死者 269人 VERA Files, 2026年2月19日
10年後の評価 「麻薬戦争の人権侵害は継続」 Human Rights Watch, 2026年6月30日

「麻薬戦争の死者3万人」は推計値であり、政府の確定統計(6,252人)とは指標が違う(前者は自警団型を含む NGO 推計、後者は警察作戦のみ)。混同は典型的な誤りである。


2. マルコス政権 前半(2022年6月30日〜2024年12月)

日付 出来事
2023年1月26日 ICC 予審裁判部が麻薬戦争捜査の再開を許可
2023年2月2日/4月3日 EDCA(防衛協力強化協定)で新たに4か所を追加、計9か所にすると発表(2月2日、オースティン米国防長官訪比時)/追加4か所の所在地を公表(4月3日。ルソン北部3か所=台湾正面、パラワン1か所=南シナ海正面)。対米回帰が鮮明化 (2026-08-26 検証で所在地公表日を追記。分野内資料「年表・通史クロノロジー」§12の「2月1日」を「2月2日」に統一)
2023年6月 サラ副大統領(当時教育長官)の「機密費(confidential funds)」問題が国会で紛糾
2023年7月18日 マハルリカ投資基金法(Maharlika Investment Fund Act/RA 11954)署名。比初の国富ファンド
2023年8月5日 アユンギン礁(Ayungin Shoal/Second Thomas Shoal)で中国海警が比補給船に放水砲
2024年3月5日・6月17日 アユンギン礁で中国側と衝突、比海軍要員が負傷(6月17日の事案では指を切断)
2024年6月19日(発効7月19日) サラ副大統領が教育長官を辞任(表明6月19日、後任ソニー・アンガラへの引継ぎ7月18日、辞任発効7月19日)。マルコス=ドゥテルテ同盟の実質的終焉 (2026-08-26 検証で発効日を追記。分野内資料「年表・通史クロノロジー」§12が「7月19日」のみを記していたため2段階に統一。2026-08-26 出典衛生工程で一次資料に差し替え:PNA「VP Sara resignation effective July 19; no DepEd OIC yet – Palace」〈pna.gov.ph/articles/1227300、PCO長官チェロイ・ガラフィルの発言〉/PNA「VP Sara turns over DepEd helm to Angara」〈同1229264、7月18日にパシッグ市の教育省本庁で引継ぎ式〉/大統領府PCO「PBBM to appoint Sen. Angara as new Education Secretary」〈7月2日の第17回閣議で表明〉。アンガラの宣誓は7月19日にマラカニアン宮殿で執行。辞表は「撤回不能(irrevocable)」と明記され、NTF-ELCAC副議長職も同時に辞任)
2024年7月8日 日比 円滑化協定(RAA/Reciprocal Access Agreement)署名(マニラ)
2024年7月22日 SONA でオフショア賭博(POGO)の全面禁止を表明(InsiderPH, 2024年7月22日)
2024年9月8日 アポロ・キボロイ(Apollo Quiboloy)逮捕
2024年11月5日 POGO 全面禁止の大統領令74号(EO 74)に署名(発表・報道は11月8日)(2026-08-26 検証で修正。初稿の「11月8日署名」は誤りで、分野内資料「年表・通史クロノロジー」§12の「11月5日・EO 74」と食い違っていた。2026-08-26 出典衛生工程で法令原文系に差し替え:正式表題は "Immediate Ban on Philippine Offshore Gaming, Internet Gaming, and Other Offshore Gaming Operations in the Philippines"。官報(Official Gazette)の掲載ファイル名自体が 20241105-EO-74-FRM.pdf で署名日が11月5日であることを示す。官報掲載=11月8日(金)で、同日の公表をもって即日発効。 対象はPOGO・IGL等(RA 11590の定義を含む)で、2024年12月31日までに巻き取りを含め完全に操業停止を義務づけ、雇用回復・再統合のためのTWG設置を規定。同日付でベルサミン官房長官がCEZA宛の覚書を発出。その後 RA 12312(2025年 反POGO法)**が制定され、RA 11590を廃止して既存ライセンスを恒久的に取り消した。出典:官報/Wikisource収録のEO 74全文/Daily Tribune 2024年11月8日/Rappler「Marcos' EO 74 on POGO ban 'still unclear' on coverage」)
2024年11月23日 サラ副大統領が「自分が殺されたらマルコス大統領らを殺させる」と発言。政治危機に発展
2024年12月15–31日 POGO ライセンス取消し開始、年末で「POGO ゼロ」へ(PAGCOR/PAOCC, 2024年12月)
2024年12月16日 比上院が日比 RAA を批准同意(PNA, 2024年12月16日)

3. 2025年 ── 弾劾・ICC・治水汚職の年(月単位)

日付 出来事 出典
2月5日 下院がサラ・ドゥテルテ副大統領の弾劾訴追(第1次)を可決、上院に送付 各紙
3月11日 ドゥテルテ前大統領、ICC 逮捕状によりマニラ国際空港で拘束 ICC
3月12日 ICC へ引き渡し(surrendered to the ICC) ICC 公式ページ
3月14日 ICC で最初の出廷(initial appearance) ICC 公式ページ
5月12日 中間選挙。投票率は COMELEC 発表で81.65%(GMA, 2025年5月15日)/「中間選挙として過去最高の82.2%」(Rappler, 2025年5月15日) 数値が2系統流通 GMA/Rappler, 2025年5月15日
5月17日 上院当選12人(Magic 12)の異例の早期宣誓・宣言(マニラホテル) Inquirer, 2025年5月17日
6月6–7日 日本の国会が日比 RAA を承認 PNA, 2025年6月6日
7月25日 最高裁が第1次弾劾訴追を「1年ルール」違反として違憲と判断 本稿では一次確認未実施
7月28日 マルコス大統領の SONA。治水(flood control)事業の不正を名指しで告発 → 「治水スキャンダル」の起点 PCIJ が「flood-control speech」と呼称(2026年7月26日)
8月13日 バランガイ・SK 選挙(BSKE)を2026年11月に延期し、任期を4年とする法律に署名 PNA/Inquirer, 2025年8月13日
9月1日 DPWH(公共事業道路省)長官マヌエル・ボノアン(Manuel Bonoan)辞任。運輸長官ヴィンス・ディゾン(Vince Dizon)が後任に PNA, 2025年9月1日
9月11日 大統領令94号(EO 94)で独立インフラ委員会(ICI/Independent Commission for Infrastructure)設置。委員長は元控訴裁判事アンドレス・レイエス(Andres Reyes) 大統領府 PCO, 2025年9月11日
9月11日 日比 RAA が発効 PNA, 2025年9月11日
9月17日 下院議長マーティン・ロムアルデス(Martin Romualdez)が辞任、ファウスティノ・「ボジー」・ダイ3世(Faustino "Bojie" Dy III、イサベラ州)が253票で新議長に Rappler/Philstar, 2025年9月17日
9月21日 「トリリオン・ペソ・マーチ(Trillion Peso March)」。GMA は「10万人超」、Facebook 中継は10時45分時点でルネタに約4.5万人と報道。アヤラ橋では暴徒がトラック放火・警官と衝突 GMA/Philstar, 2025年9月21日
9月30日 21時59分 Mw6.9 セブ地震(PHIVOLCS 呼称「30 September 2025 Magnitude (Mw) 6.9 Offshore Northern Cebu Earthquake」)。震源はボゴ市の東北東(N75°E)約19kmの海域(11.10°N・124.14°E)、深さ5km(PHIVOLCS。USGSは10km)。震源断層は地震後に命名された「ボゴ湾断層(Bogo Bay Fault)」=北東走向の右横ずれ断層で、それまで活断層図に無かった。 ボゴ市内の3バランガイに約8kmの地表地震断層が現れ、同市で約1mの隆起、サンレミヒオのハグナヤ港では沈降。最大震度 PEIS VIII〜VII。死者79人・負傷559人・行方不明0(NDRRMC、2025年10月17日6時報告以降 横ばい)/被災 約74万8,000人・21万7,000世帯/住家損壊134,229棟 (2026-08-26 出典衛生工程で2点を訂正。①旧稿の「震源はダアンバンタヤン東方沖12km」は二次サイト由来で、PHIVOLCSの記載とも査読論文とも一致しない。旧稿の「負傷599人」は誤りで、NDRRMC は一貫して 559人。出典:PHIVOLCS プレスリリース「PRIMER ON THE 30 SEPTEMBER 2025 MAGNITUDE (MW) 6.9 OFFSHORE NORTHERN CEBU EARTHQUAKE」査読論文 Frontiers in Earth Science (2026)「Source Fault, Impacts, and Seismotectonic Implications of the 2025 Magnitude (MW) 6.9 Northern Cebu Earthquake, Philippines」="approximately 19 km N75°E of Bogo City"/Inquirer・GMA 2025年10月17日=NDRRMC 6時報告「79 deaths / 559 injured」) PHIVOLCS/NDRRMC(Inquirer・GMA, 2025年10月17日)
11月4–5日(余波は7日まで) 台風ティノ/Kalmaegi。比国内に8回上陸(南レイテ州シラゴ→セブ州ボルボン→ネグロス・オクシデンタル州サガイ→ギマラス州サンロレンソ→イロイロ市→クヨ諸島→パラワン州タイタイ→エルニド)。PAGASA による上陸時刻は ①11/4 0:00 シラゴ(南レイテ)②5:10 ボルボン(セブ)③6:40 サガイ市(西ネグロス)④11:10 サンロレンソ(ギマラス)⑤13:20 イロイロ市⑥19:30 マグサイサイ(クヨ諸島、パラワン)⑦11/5 4:10 バタス島(タイタイ、パラワン)⑧4:40 エルニド(パラワン)。11/2 に熱帯低気圧としてPAR入り、11/6 0:30 にPARを離脱。死者269人・行方不明113人・負傷523人(NDRRMC/OCD、2025年11月中旬)。死者内訳:セブ150/西ネグロス77/東ネグロス23/アグサン・デル・スル6/カピス3/レイテ・南レイテ・ディナガット各2/アンティケ・ボホール・イロイロ・ギマラス各1。行方不明内訳:セブ57/西ネグロス50/東ネグロス6。被災 5,458,858人。 別系統で「死者・行方不明327人」(Anadolu, 2025年11月7日)、「Kalmaegi と Fung-wong の合計で260人近く」(BusinessWorld, 2025年11月12日)。NDRRMC の Tino+Uwan 合計は11月17日時点で297人。集計主体・時点で数字が動くので必ず出所と時点を添えること(2026-08-26 検証で上陸日・上陸地・269+113を追記。2026-08-26 出典衛生工程で英語版Wikipediaを撤去し、PAGASA・NDRRMC/OCD を引く一次/主要報道に差し替え PAGASA(Rappler 台風速報 2025年11月5日)/NDRRMC・OCD(GMA「269 dead, 523 injured due to Typhoon Tino — OCD」/Inquirer 2025年11月/PNA 1263405)/Anadolu 2025-11-07/BusinessWorld 2025-11-12
11月9–10日 スーパー台風ウワン/Fung-wong。ルソン広域被害 ReliefWeb 合同速報評価, 2025年11月20日
11月15日 元アコ・ビコール下院議員ザルディ・コ(Zaldy Co)が「マルコス大統領が2025年度予算の挿入から250億ペソのキックバックを得た」と主張 Rappler, 2025年11月15日
11月18–21日 ICI/DPWH が治水事件をサンディガンバヤン(汚職特別裁判所)に提訴。ICI はロムアルデス前議長とコ元議員への収賄・不正蓄財(plunder)等の立件を勧告 Inquirer, 2025年11月18日/GMA, 2025年11月21日
11月19日 オンブズマンのヘスス・クリスピン・レムーリャ(Jesus Crispin Remulla)が「ディスカヤ夫妻(Discaya spouses)が次に起訴される」と発言 Manila Bulletin, 2025年11月19日
11月30日 第2弾集会「バハ・サ・ルネタ(Baha sa Luneta)」。参加は約3,000人にとどまり、9月より大幅縮小 Inquirer, 2025年12月1日
12月10日 ディスカヤ氏の出頭とコ元議員の旅券取消しが判明 Inquirer, 2025年12月10日

4. 2026年 ── 中東紛争ショックを軸に(月単位)

4-1. 戦争そのもの(背景として押さえる)

日付 出来事 出典
2026年2月28日 米国・イスラエルとイランの戦争が開戦 開戦日そのものを明記した記事は取れていない。ただし「開戦から100日=2026年6月7日」(Al Jazeera/Bloomberg/CNBC ほか、2026年6月7日)、「開戦40日で死者7,650人=2026年4月8日」(Hengaw)、「開戦2か月目に入る=2026年3月28日」(Inquirer)から逆算して2月27–28日で整合する 開戦日の直接典拠なし(未確認)。上記各報道からの逆算
3月28日 「開戦後4週間の経過」総括(Al Jazeera) Al Jazeera, 2026年3月28日
4月8日 開戦40日で死者7,650人(うち民間人1,030人) Hengaw, 2026年4月8日
5月8日 ホルムズ海峡(Strait of Hormuz)で米・イランが交戦、戦線拡大 Al Jazeera, 2026年5月8日
6月7日 開戦100日。和平合意の見通し立たず Bloomberg ほか, 2026年6月7日
6月25日 原油価格が「開戦前の水準」まで下落 BBC, 2026年6月25日
7月18日 ヨルダンで米兵2人死亡を受け米軍がイランを攻撃 DW, 2026年7月18日
7月27日 「戦争は6か月目に入り不透明感が増大」 New York Times, 2026年7月27日
8月21日 米が「史上最強の経済制裁」を警告、イランは「壊滅的な報復」を宣言 NBC News, 2026年8月21日

4-2. フィリピンへの波及(月単位)

日付 出来事 出典
1月5日 2026年度国家予算6兆7,930億ペソに署名。未計上予算(unprogrammed funds)925億ペソを拒否権行使で削除。上院は事前に SAGIP 基金800億ペソを削除済み ABS-CBN/Inquirer/PNA, 2026年1月5日
2月2–3日 サラ副大統領に対する新たな弾劾請願2件を下院に提出(1年ルールの起算日2025年2月5日の直前) 各紙
2月9–10日 3件目の弾劾請願が下院に受理・議長室に送付 各紙
2月23–27日 ICC でドゥテルテ前大統領の罪状確認審理(confirmation of charges hearing) ICC 公式ページ
2月24日 米最高裁の関税判決後も比の対米輸出関税19%は不変と DTI 長官 PNA, 2026年2月24日
2月25日 元海兵隊員18人が治水事業をめぐる「139億ドル規模のキックバック」を告発し、マルコス大統領と従兄弟ロムアルデス氏を名指し Gulf News, 2026年2月25日
2月28日 中東で開戦(上表)
3月2日 DFA が中東各国の危機警戒レベル(alert level)を更新・発表。PNP は「国内への直接的脅威は確認されず」 PNA/GMA/Manila Bulletin, 2026年3月2日
3月2–4日 DMW「一斉帰還(mass repatriation)はまだ行わないが準備済み」。マルコス大統領も同旨。OWWA には1,189人が帰国を申請 Inquirer, 2026年3月4日
3月3日 大統領が中東対応の臨時閣議を招集 各紙, 2026年3月3日
3月4–6日 支援対象 OFW 1,824人。DMW が退避基準を策定。「追加予算が必要になり得る」 PNA, 2026年3月4–6日
3月9日 ペソが1ドル=59.50ペソまで下落し「史上最安値」更新 市場報道, 2026年3月9日
3月10–20日 政府チャーター便での帰還が本格化(3月15日に300人超、3月20日に第3便317人) Inquirer/PCO, 2026年3月
3月23日 第4便343人が帰国。1,200人の追加帰還を計画 PCO/BusinessWorld, 2026年3月23日
3月24日 マルコス大統領が「国家エネルギー非常事態(state of national energy emergency)」を宣言 各紙, 2026年3月24日
3月25日 紛争影響を受けた OFW 1万6,000人に政府支援 PNA, 2026年3月25日
3月27日 大統領はクウェートへの全面派遣禁止に否定的見解 DZRH, 2026年3月27日
4月5日 燃料が週次で急騰。Shell はディーゼル1リットル+19.80ペソ、ガソリン+5.90ペソを実施 2026年4月5日
4月6–8日 中東向け派遣停止で約4万人の OFW がマニラで足止め。DMW は「派遣禁止ではない」と釈明。DEPDev は25万人が帰還した場合の送金減を1,098億ペソと試算 Philstar/The Filipino Times/Rappler, 2026年4月6–8日
4月13–20日 帰還者・扶養家族が5,400人→6,532人へ。DMW が1人200ドルの現金支援を開始(4月17日)。帰還者の67%が「紛争からの避難」 PNA/Inquirer, 2026年4月
4月19–28日 ディーゼルが大幅値下げ(4月19日「24.9ペソ下落」=大統領発言、4月28日 −12.94ペソ) Philstar, 2026年4月19日/Gulf News, 2026年4月28日
4月22日 ICC 上訴裁判部が管轄権を確認(Duterte 側の上訴を棄却) ICC/Rappler, 2026年4月22日
4月23日 ICC 予審裁判部Ⅰが人道に対する罪3件の全訴因を確認し、本裁判に付託。検察側証拠は2,279点 ICC 公式ページ/GMA, 2026年4月23日
4月26日 イミー・マルコス(Imee Marcos)上院議員が BSKE を2027年10月に再延期する法案を提出 Manila Bulletin, 2026年4月26日
4月27日 「大統領も治水汚職の捜査対象から外れない」 Philstar, 2026年4月27日
4月30日 最高裁「上院は第1次弾劾で適時に行動した」と判示 Philstar, 2026年4月30日
5月4日 下院法務委員会が弾劾報告を55票で可決 各紙, 2026年5月4日
5月11日 下院が第2次弾劾を可決(賛成257・反対25・棄権9)。同日、上院ではソット(Vicente Sotto III)議長がドゥテルテ系議員の造反で解任され、アラン・ピーター・カエタノ(Alan Peter Cayetano)が13対9で新議長に Rappler/Philstar, 2026年5月11日
5月13日 弾劾条項が上院に送付 各紙, 2026年5月13日
5月21日 中東からの帰国者9,800人超 GMA, 2026年5月21日
5月25–29日 帰国者1万129人。ペソが再び最安値圏へ。民間予測は2026年成長率3.0〜3.1%に下方修正(Capital Economics 3%、DLSU 3.1%) GMA/Manila Bulletin, 2026年5月
5月末 マルコス大統領が訪日。日本の新防衛態勢における比の位置づけを確認、関係を「格上げ」 Philstar, 2026年5月20日/Global Times, 2026年5月29日
6月3日 上院で再び政変。カエタノ議長が「ソリッド・ブロック12」により解任され、シャーウィン・ガチャリアン(Sherwin Gatchalian)が議長代行に GMA/Daily Tribune, 2026年6月3日
6月3日 元海兵隊員18人が上院ブルーリボン委員会に出席し、キックバック運搬を証言 2026年6月3日
6月7日 中東の OFW 3万5,000人に現金支援 BusinessWorld, 2026年6月7日
6月中旬(6月17日とも ガチャリアン氏が正式に上院議長に選出(28日間の指導部空白が終結) 各紙, 2026年6月。分野内資料「年表・通史クロノロジー」§14-1は「2026年6月17日選出」と記す。正式選出日は本検証でも確定できなかったため両論併記(2026-08-26 検証)
6月21–22日 マルコス大統領が中東 OFW の帰還・再統合に追加30億ペソを配分 PNA/Inquirer/GMA, 2026年6月21–22日
6月23日 大幅値下げ(ガソリン −3.90ペソ/L、ディーゼル −9.04ペソ/L) PNA/Top Gear, 2026年6月22–23日
6月30日 Human Rights Watch「麻薬戦争の人権侵害は10年経っても続く」 HRW, 2026年6月30日
7月6日 上院弾劾法廷が開廷。上院議長ではなくチズ・エスクデロ(Chiz Escudero)上院議員が裁判長(presiding officer)に選出 PNA, 2026年7月6日
7月13日 中東からの帰還者が1万人超(DMW) GMA/PNA, 2026年7月13日
7月22–25日 南シナ海が再燃。バホ・デ・マシンロック(Bajo de Masinloc/Scarborough Shoal)で中国が2日連続の放水砲。中国は「比軍機が領空侵入」と主張。比はアユンギン礁の事案と同礁の構造物設置を王毅外相に抗議。「1週間に3件の衝突」 Rappler/Reuters/Al Jazeera/gCaptain, 2026年7月22–25日
7月27日 マルコス大統領の第5回 SONA。「反応型から予測型への防災転換」「石油危機の緩和に政府はできる限りをした」「所得税免除枠を35万ペソへ拡大するよう議会に要請」。OFW 1万2,000人超を戦域から帰還させ、14万人に支援・生計プログラムを提供したと表明 PNA/GMA/Daily Tribune, 2026年7月27日
7月24日 ペソが1ドル=61.847ペソに/米国が比国産品への関税を19%→12.5%に引下げ 市場報道, 2026年7月24日/分野内資料「年表・通史クロノロジー」§14-1(2026-08-26 再検証で日付順を修正し、関税変更を本表にも反映)
7月27日 米・日・比が南シナ海で共同演習 The Diplomat, 2026年7月27日
8月3日 世界銀行「治水汚職の摘発(clean-up)が投資家心理を冷やし、比の成長を押し下げている」 Rappler, 2026年8月3日
8月6–8日 中国がスカボロー礁での比艦追跡中の事故で「2人死亡」を確認(2025年の衝突事案) SCMP, 2026年8月6日/Taipei Times, 2026年8月8日
8月7日 2026年第2四半期 GDP 成長率2.3%(PSA 発表)。「戦争の影響がピーク」「ポストパンデミック期の最低」 Inquirer/GMA/Manila Bulletin, 2026年8月7日
8月11日 2027年度国家支出計画(NEP)7兆2,000億ペソを上院議長に提出 2026年8月11日
8月12–20日 モンスーン(habagat)と台風ルイス(Luis)・メイメイ(Maymay)で死者29人、被災749万人(NDRRMC) Philstar/Inquirer, 2026年8月16–20日
8月13–25日 BSKE の再延期論議。COMELEC は「9月までに結論を」と要請。上院委員会が2026年11月選挙の延期と任期5年化を可決(すでに80億ペソを支出済み) Inquirer, 2026年8月13日/Manila Bulletin・GMA・Daily Tribune, 2026年8月24–25日
8月14–17日 大統領「治水の責任追及は急務」。マルコス政権下の治水予算は1兆2,000億ペソで、ドゥテルテ政権下の5,870億ペソの約2倍と報道 PNA/SunStar, 2026年8月14日/Manila Times, 2026年8月17日
8月21日 オンブズマンがダバオ(Davao)の過去の治水事業も調査対象に Philippine Canadian Inquirer, 2026年8月25日
8月24–25日 弾劾裁判は第18公判日。エスクデロ裁判長は「年内(2026年12月)結審」を目標と表明。争点は OVP(副大統領府)機密費の使途 GMA/PNA/Rappler, 2026年8月24–25日
(今後) 2026年11月30日:ICC でドゥテルテ前大統領の本裁判が開廷予定 ICC 公式ページ

5. テーマ別の縦串(横断で引くための表)

5-1. 麻薬戦争と ICC

日付 出来事
2016年6月30日〜 麻薬戦争開始
2018年3月17日 ICC 脱退を通告(2019年3月17日発効)
2021年9月15日 ICC が捜査を許可
2023年1月26日 捜査再開を許可
2025年3月11日 ドゥテルテ前大統領拘束
2025年3月12日 ICC へ引き渡し
2025年3月14日 最初の出廷
2026年2月23–27日 罪状確認審理
2026年4月22日 上訴裁判部が管轄権を確認
2026年4月23日 人道に対する罪3訴因すべてを確認、本裁判へ付託
2026年5月27日/6月23日 第1回・第2回ステータス会議(7月14日分は取消し)
2026年11月30日 本裁判開廷予定

「ICC 脱退したから訴追できない」は誤り。ICC は脱退発効前(2011年11月〜2019年3月16日)の行為について管轄権を保持し、2026年4月22日の上訴裁判部決定でこれが確定した。

5-2. 南シナ海(主要事案)

日付 事案
2016年7月12日 PCA 仲裁判断(中国の主張に法的根拠なし)
2019年6月9日 リード堆で中国船が比漁船に衝突・逃走
2023年8月5日 アユンギン礁で中国海警が放水砲
2024年3月5日・6月17日 アユンギン礁で衝突、比側負傷者
2025年(時期は下記参照) スカボロー礁での比艦追跡中の事故で中国側2人死亡(中国が2026年8月に確認)
2026年7月22–25日 バホ・デ・マシンロックで2日連続の放水砲/領空主張/1週間に3件の衝突
2026年7月27日 米・日・比 共同演習

5-3. 主要災害

日付 災害 規模
2013年11月8日 台風ヨランダ/Haiyan(参考・10年前の基準点) 死者6,300人(NDRRMC 公式集計、=確定値)/行方不明を含めると7,000〜8,000人(推計)。被災者約1,100万人 (2026-08-26 検証で追記。分野内資料「年表・通史クロノロジー」§10・§17と統一。「公式6,300人」と「推計7,000〜8,000人」を混ぜないこと
2020年1月12日 タール火山噴火 ルソン南部広域降灰
2020年11月11–12日 台風ユリシーズ/Vamco 首都圏・カガヤン渓谷大洪水
2021年12月16日 台風オデット/Rai 数百人死亡
2025年9月30日 Mw6.9 セブ地震震源=ボゴ市の東北東 約19km 沖・深さ5km〈PHIVOLCS〉/震源断層=ボゴ湾断層/最大被害はボゴ市周辺 死者79人・負傷559人(NDRRMC, 2025年10月17日6時報告)(2026-08-26 出典衛生工程で震源と負傷者数の双方を訂正。旧稿の「ダアンバンタヤン東方沖12km」「負傷599人」はいずれも誤り。出典:PHIVOLCSプレスリリース/Frontiers in Earth Science 2026/Inquirer・GMA 2025年10月17日。分野内資料「災害データベース」§地震表・「台風・地震・火山の各論」§地震表・「年表・通史クロノロジー」§13 にも同じ2つの誤りが残っている ── 要修正
2025年11月4–5日 台風ティノ/Kalmaegi(比国内8回上陸) 死者269人・行方不明113人・負傷523人(NDRRMC/OCD、2025年11月中旬。GMA「269 dead, 523 injured due to Typhoon Tino — OCD」)別系統で「死者・行方不明327人」(Anadolu, 2025年11月7日)(2026-08-26 出典衛生工程で英語版Wikipedia由来の表記を撤去)
2025年11月9–10日 スーパー台風ウワン/Fung-wong ルソン広域(ReliefWeb 合同評価, 2025年11月20日)
2026年7月4–13日 台風インダイ/Bavi 死者20人、被災65.4万人(BusinessWorld, 2026年7月13日)分野内資料「年表・通史クロノロジー」§14-2は「7月11日時点で全国23人死亡」+ラナオ・デル・スールの地滑り7人死亡と記す。集計時点で異なるため必ず時点を添えること(2026-08-26 検証で併記)
2026年7月25–26日 熱帯低気圧キヤポ/Noul 死者3人、被災28.5万人(Daily Tribune, 2026年7月26日)
2026年8月 habagat +台風ルイス・メイメイ 死者29人、被災749万人(NDRRMC, 2026年8月20日)

5-4. 選挙

日付 選挙 要点
2016年5月9日 大統領選 ドゥテルテ当選(得票率約39%)/副大統領ロブレド
2019年5月13日 中間選挙 野党上院候補が全敗
2022年5月9日 大統領選 マルコス Jr. 圧勝、サラ・ドゥテルテ副大統領(ユニチーム)
2025年5月12日 中間選挙 投票率81.65%(COMELEC)/82.2%(Rappler)。上院はマルコス系・ドゥテルテ系・野党が分裂
2025年12月予定→2026年11月 バランガイ・SK 選挙 2025年8月13日の法で2026年11月へ延期・任期4年に
2026年11月2日予定→2027年10月案 同上 2026年8月時点で再延期・任期5年化の法案が上院委員会を通過(80億ペソ支出済み)

5-5. 弾劾(サラ・ドゥテルテ副大統領)

日付 出来事
2024年11月23日 「暗殺」発言
2025年2月5日 下院が第1次弾劾訴追を可決・上院送付
2025年7月25日 最高裁が「1年ルール」違反で違憲と判断 本稿では一次確認未実施
2026年2月2–10日 新たな弾劾請願3件を下院に提出(1年ルールの障壁が消滅)
2026年5月4日 下院法務委員会が可決(55票)
2026年5月11日 下院本会議で可決(257−25−9)
2026年5月13日 弾劾条項を上院に送付
2026年7月6日 上院弾劾法廷開廷。エスクデロ議員が裁判長に
2026年8月25日 第18公判日。争点は OVP 機密費。年内結審が目標

2026年の弾劾裁判は「2025年の弾劾が復活したもの」ではなく、まったく新しい第2次弾劾である。 「最高裁が弾劾を無効にした」というSNS上の主張は2025年の判決を2026年の裁判に誤って当てはめたもので、Rappler・VERA Files が繰り返しファクトチェックしている(2026年5月8日、6月24日、7月16日、8月18日)。

5-6. 治水事業汚職(flood control scandal)── 現在進行形の最大政治案件

日付 出来事
2025年7月28日 マルコス大統領が SONA で告発(=起点)
2025年9月1日 DPWH 長官交代(ボノアン → ディゾン)
2025年9月11日 EO 94 で ICI 設置(委員長:元控訴裁判事アンドレス・レイエス)
2025年9月17日 下院議長ロムアルデス辞任、ダイ3世が後任
2025年9月21日 「トリリオン・ペソ・マーチ」(10万人超規模/一部暴徒化)
2025年11月15日 ザルディ・コ元議員が「大統領に250億ペソのキックバック」と主張
2025年11月18–21日 サンディガンバヤンへの提訴開始、ロムアルデス/コへの立件勧告
2025年11月30日 第2弾集会は約3,000人と縮小
2025年12月10日 ディスカヤ氏出頭、コ氏の旅券取消し
2026年2月25日 元海兵隊員18人が「139億ドル規模」と告発
2026年6月7日 CIDG が上院敷地内で業者カーリー・ディスカヤ(Curlee Discaya)を逮捕
2026年8月3日 世界銀行が「摘発の副作用としての投資萎縮」を指摘
2026年8月12日 最高裁が ICI 報告書ドラフト全文の公開請求を却下
2026年8月17日 マルコス政権下の治水予算1.2兆ペソ > ドゥテルテ政権下0.587兆ペソ と報道
2026年8月21–25日 オンブズマンがダバオの過去案件にも調査を拡大

5-7. 主要立法(10年)

成立年月 法律 内容
2017年12月 TRAIN(RA 10963) 所得税減税+燃料・砂糖飲料課税
2018年7月 バンサモロ基本法(RA 11054) BARMM の法的基礎
2019年2月 コメ関税化法(RA 11203) コメ輸入自由化
2019年2月 ユニバーサル・ヘルスケア法(RA 11223) 全国民自動加入
2020年3月 Bayanihan 法(RA 11469) COVID 特別権限
2020年7月 反テロ法(RA 11479) テロ定義拡大・令状なし拘束
2021年3月 CREATE(RA 11534) 法人税30→25%
2023年7月 マハルリカ投資基金法(RA 11954) 国富ファンド
2025年8月 BSKE 延期法 バランガイ選挙を2026年11月へ、任期4年
2026年(審議中) BSKE 再延期法案 2027年10月へ、任期5年(2026年8月に上院委通過)

5-8. 経済指標の節目

指標 時点・出典
GDP 成長率 2.3% 2026年 Q2、PSA(2026年8月7日発表)。ポストパンデミック期の最低
2026年通年見通し 3.0%(Capital Economics)/3.1%(DLSU) 2026年5月、Manila Bulletin
インフレ率(2026年) 1月2.0% → 2月2.4% → 3月4.1% → 4月7.2% → 5月6.8% → 6月6.4% → 7月6.2% PSA 各月発表(PNA/Manila Standard 2026年8月5日ほか)
地域別インフレ 第8地域(東ビサヤ)7月8.3% PNA, 2026年8月13日
ペソ/米ドル 3月9日 59.50(当時の最安値)→ 7月24日 61.847 市場報道, 2026年
ペソ年末予測 1ドル=63ペソ Inquirer, 2026年6月25日
BSP 政策金利 利上げ局面。到達点5.5%との予測(HSBC) Manila Bulletin, 2026年6月29日/Philstar, 2026年8月23日
2026年度予算 6兆7,930億ペソ(未計上予算925億ペソを拒否権) 2026年1月5日署名
2027年度 NEP 7兆2,000億ペソ 2026年8月11日提出
対米関税 19%(2025年7月22日合意 比国内報道は7月23日付/2026年2月時点で不変)→ 2026年7月24日に12.5%へ引下げ Reuters/PNA/分野内資料「年表・通史クロノロジー」§14-1(2026年7月24日、Inquirer 等)(2026-08-26 検証で2026年7月の変更を追記。この表は2026年2月時点のまま止まっていた
送金リスク 25万人が帰国した場合、1,098億ペソの減少 DEPDev 試算、2026年4月8日

NEDA は組織改編で DEPDev(Department of Economy, Planning and Development/経済計画開発省)になっている。古い資料の「NEDA」表記と混在するので注意。

5-9. 日比関係

日付 出来事
2024年7月8日 日比 RAA(円滑化協定)署名(マニラ)
2024年12月16日 比上院が RAA を批准同意(PNA)
2025年6月6–7日 日本の国会が RAA を承認(PNA/Manila Standard)
2025年9月11日 RAA 発効(PNA)
2025年10月26日 マルコス大統領と高市早苗(Takaichi)首相の初の首脳会談(マレーシア、ASEAN関連首脳会議の機会に)。ACSAの実質合意を歓迎、9月のRAA発効を確認、包括的エネルギー協力(民生用原子力を含む)の協力覚書に署名 (2026-08-26 検証で修正。初稿の「10月27日」は誤り。出典:外務省 日比首脳会談 https://www.mofa.go.jp/mofaj/s_sa/sea2/ph/pageit_000001_00005.html =現地時間10月26日13時09分。分野内資料「年表・日比関係史」§2-8の「2025-10-26」と統一。比国内報道は10月27–28日付で流通)
2026年1月15日 日比ACSA(物品役務相互提供協定)署名(茂木敏充外相の訪比に合わせて)(GMA/Manila Bulletin, 2026年1月15日)
2026年5月26–29日 マルコス大統領が国賓として訪日。5月27日 天皇皇后両陛下との会見・桐花大綬章/5月28日 日比首脳会談で関係を「包括的戦略的パートナーシップ(CSP)」へ格上げする共同声明・日本の国会で演説/GSOMIA型の情報保全協定の交渉開始で一致 (2026-08-26 検証で日付を細分化。初稿の「5月下旬・関係を格上げ」は曖昧だった。分野内資料「年表・日比関係史」§2-8・§7と統一)
2026年7月23日 日比外相会談(マニラ)。国交正常化70周年の記念日(1956年7月23日=賠償協定発効から70年)(外務省 2026-07-23)
2026年7月27日 米・日・比の南シナ海共同演習(The Diplomat)
2026年8月22日 日比ACSA 発効 (2026-08-26 検証で追記。分野内資料「年表・日比関係史」§3)

6. 知らないと間違える点(チェックリスト)

# よくある誤解 正しい理解
1 「麻薬戦争の死者は3万人」と断定 3万人は NGO 推計(自警団型を含む)。政府確定統計は警察作戦のみで6,252人(2022年5月時点)。両者は指標が違う
2 「ICC を脱退したので訴追不能」 脱退発効(2019年3月17日)の行為には管轄権が残る。2026年4月22日に上訴裁判部が管轄を確認済み
3 「サラ副大統領の弾劾は最高裁が潰した」 潰れたのは2025年の第1次。2026年5月11日に下院が第2次を可決し、7月6日から上院で裁判中
4 「弾劾裁判は上院議長が仕切る」 2026年の裁判ではエスクデロ議員が裁判長に選出された(上院議長はガチャリアン)
5 「上院議長はソット」 2026年に3人交代:ソット → カエタノ(5月11日)→ ガチャリアン(6月3日〜)
6 「下院議長はロムアルデス」 2025年9月17日に辞任、ダイ3世が後任
7 「バランガイ選挙は2026年11月」 2026年8月時点で再延期法案が上院委員会を通過(2027年10月案)。確定していない
8 「NEDA が経済見通しを出す」 現在は DEPDev(経済計画開発省)
9 台風の死者数を1つの数字で断定 集計主体(NDRRMC/地方自治体/通信社)と時点で大きく動く。2025年 Kalmaegi は327人(死者+行方不明、2025年11月7日)と「Kalmaegi+Fung-wong で260人近く」(2025年11月12日)が併存
10 2025年中間選挙の投票率 81.65%(COMELEC)と82.2%(「中間選挙として過去最高」)の2系統が流通
11 「2026年のインフレは中東戦争のせい」だけで説明 石油ショックに加えペソ安(3月に59.50、7月に61.85)と食品価格が重なった複合要因。3月4.1%→4月7.2%の跳ね上がりが転換点
12 「治水汚職はドゥテルテ政権の遺産」 2026年8月17日の報道ではマルコス政権下の治水予算1.2兆ペソがドゥテルテ政権下0.587兆ペソの約2倍。ただしオンブズマンはダバオの過去案件にも調査を拡大している(2026年8月)。どちらの政権の問題かは係争中
13 「中東からの OFW は全員帰国した」 2026年7月時点の帰還は1万人超。在留者は依然多数で、政府は「一斉帰還はしない」方針(2026年3月4日)を維持。派遣停止で約4万人が国内で足止め(2026年4月6日)

7. 主な出典(本作業で取得したもの)


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