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日本の受入れ制度と在日フィリピン人 — 制度・統計・論点の実務ガイド

情報基準日:2026-08-26 / 分野:OFW・移民・送金・在日比人

在日フィリピン人(Filipinos in Japan / mga Pilipino sa Hapon)は、日本の外国人人口の中で「歴史が最も長い層のひとつ」でありながら、近年の制度改正の影響を最も複雑な形で受けているグループである。本稿は、政府一次統計と法令資料に基づき、2025〜2026年の最新状況を整理する。


1. 全体像 — 2つの「公式数字」を混同しない

在日フィリピン人の人数には、目的の異なる2系統の政府統計がある。混同すると議論がかみ合わなくなる。

統計 所管 基準時点 フィリピン 順位
在留外国人統計 出入国在留管理庁(ISA) 2025年末 356,579人 国籍・地域別 4位
外国人雇用状況の届出 厚生労働省(MHLW) 2025年10月末 260,869人 国籍別 3位

1-1. 在留外国人 国籍・地域別(2025年末・確定公表値)

出入国在留管理庁「令和7年末現在における在留外国人数について」(2026年公表)より。総数は 4,125,395人 で、初めて400万人を突破した(前年末比 +356,418人、+9.5%)。

順位 国籍・地域 2025年末 前年末比
1 中国 930,428 +57,142
2 ベトナム 681,100 +46,739
3 韓国 407,341 −1,897
4 フィリピン 356,579 +15,061
5 ネパール 300,992 +67,949
6 インドネシア 266,069 +66,245
7 ブラジル 210,014 −1,893
8 ミャンマー 182,567 +47,993
9 スリランカ 79,128 +15,656
10 台湾 73,256 +3,109

フィリピンの伸び率(約+4.4%)は総数の伸び(+9.5%)を下回る。ネパール・インドネシア・ミャンマーの急増に押され、順位は維持しているが相対的なシェアは低下している

2025年末のシェアは 8.64%(356,579 ÷ 4,125,395)。2024年末は 9.06%(341,518 ÷ 3,768,977)だったので、1年で0.4ポイント低下した。 (2026-08-25 相互照合で補記)同一資料群の分野「日比の往来史と在比日本人」§ は同じ356,579人に対して「全体の8.8%」と書いているが、本表の総数4,125,395人を分母にすると再現しない(8.8%になるのは分母が約405万人=2025年途中の速報総数などの場合)。構成比は「分子の時点」と「分母の時点」を揃えて計算し、分母の値そのものを併記すること。分野「統計とデータソースの使い方」§14 の運用ルール2(普及率・構成比は必ず分母の出所を書く)と同じ論点である。

1-2. 外国人労働者数の推移(各年10月末・厚生労働省)

全体 フィリピン 前年比
2021 1,727,221 191,083 +3.4%
2022 1,822,725 206,050 +7.8%
2023 2,048,675 226,846 +10.1%
2024 2,302,587 245,565 +8.3%
2025 2,571,037 260,869 +6.2%

外国人労働者全体は2025年10月末に257万人(前年比+11.7%)で届出義務化(2007年)以降の過去最多。フィリピンは全体の 10.1% を占める。


2. 在留資格別の内訳 — ここが他国と決定的に違う

出入国在留管理庁「令和7年末公表資料」第2表より(2025年末)。

在留資格 フィリピン 構成比
永住者 143,784 40.3%
定住者 63,937 17.9%
技能実習 42,289 11.9%
特定技能 35,862 10.1%
日本人の配偶者等 26,119 7.3%
技術・人文知識・国際業務 11,485 3.2%
家族滞在 6,608 1.9%
特定活動 5,449 1.5%
留学 2,769 0.8%
その他 18,231 5.1%
特別永住者 46 0.0%
総数 356,579 100%

永住者+定住者+日本人の配偶者等だけで233,840人(65.6%)。これは「就労目的で最近来た人」ではなく、1980〜2000年代の国際結婚・興行ビザ時代に来日し定着した層とその家族である。

対照的に、ベトナムは永住者32,698人(4.8%)、インドネシアは8,384人(3.2%)。「外国人労働者の増加」の文脈でフィリピンを語ると実態を外す。フィリピンはすでに定住フェーズに入った国籍である。

2-1. 労働者側から見ても同じ構造

厚生労働省「外国人雇用状況の届出状況」別表1(2025年10月末)より、フィリピン国籍労働者 260,869人の内訳。

区分 人数 構成比
身分に基づく在留資格 157,421 60.3%
└ うち永住者 92,337 35.4%
└ うち定住者 39,838 15.3%
└ うち日本人の配偶者等 21,258 8.1%
└ うち永住者の配偶者等 3,988 1.5%
技能実習 47,019 18.0%
専門的・技術的分野 46,262 17.7%
└ うち特定技能 26,634 10.2%
└ うち技術・人文知識・国際業務 11,419 4.4%
特定活動 6,414 2.5%
資格外活動(留学生アルバイト等) 3,751 1.4%

全国籍平均では「身分に基づく在留資格」は25.1%にすぎない。フィリピンの60.3%は突出している(ブラジル98.5%、ペルー98.4%に次ぐ水準)。

2-2. 地域分布 東京ではなく愛知が最多

順位 都道府県 フィリピン 対全国比
1 愛知県 48,708 13.7%
2 東京都 38,273 10.7%
3 神奈川県 28,126 7.9%
4 埼玉県 26,015 7.3%
5 千葉県 24,244 6.8%
6 静岡県 21,503 6.0%
7 岐阜県 16,859 4.7%
8 大阪府 13,248 3.7%
9 茨城県 12,165 3.4%
10 広島県 11,314 3.2%

外国人全体では東京都が19.4%(801,438人)で圧倒的だが、フィリピン人だけは東海(愛知・静岡・岐阜・三重)の製造業ベルトに集中する。日系人・定住者の集住地とほぼ重なる。フィリピン向けの事業・支援・広告を東京前提で設計すると外す。


3. 技能実習 → 育成就労(2027年4月1日運用開始)

3-1. 制度の骨格

2024年(令和6年)6月21日公布の改正法により、技能実習制度は「発展的に解消」され、育成就労制度が創設された。運用開始は令和9年(2027年)4月1日(出入国在留管理庁「育成就労制度の概要」令和8年7月改訂)。

項目 技能実習 育成就労
目的 技能移転による国際貢献 人手不足分野の人材育成・確保
期間 1号+2号+3号で最長5年 3年以内(特定技能1号水準まで育成)
転籍 原則不可 本人意向の転籍を一定要件下で容認
監理団体 許可制 監理支援機関(許可基準を厳格化)
実施機関 外国人技能実習機構(OTIT) 外国人育成就労機構
計画 技能実習計画の認定 育成就労計画の認定
入国時日本語 実質要件なし A1相当以上(JFT-Basic、JLPT N5等)合格 or 相当する日本語講習の受講
対象分野 移行対象職種 育成就労産業分野 17分野

特定産業分野は19分野。うち自動車運送業・航空の2分野は育成就労の対象外(令和8年7月時点)→ 育成就労産業分野17分野と整合する。

19分野の内訳(2026-08-25 に原典で再確認。出典:出入国在留管理庁 特定技能総合情報サイト https://www.ssw.go.jp/about/visa/ ):介護/ビルクリーニング/建設/工業製品製造業/造船・舶用工業/自動車整備/航空/宿泊/自動車運送業/鉄道/農業/漁業/飲食料品製造業/外食業/林業/木材産業/リネンサプライ/物流倉庫/資源循環。特定技能2号は11分野。 「特定技能は14分野」「16分野」は古い数字(2019年の14分野 → 2022年の統合で12分野 → 2024年3月に4分野追加で16分野 → その後リネンサプライ・物流倉庫・資源循環が加わり19分野)。年を書かずに分野数だけ引かないこと。

3-2. 本人意向の転籍 — 最大の論点

出入国在留管理庁「育成就労制度Q&A」より。転籍には次が必要とされる。

「育成就労になれば自由に転職できる」は誤り。制限期間・試験・同一業務区分・人数枠の4重のハードルがある。逆に「転籍で地方から都市部へ人材が流出する」という受入れ側の懸念に対しては、人数制限と費用補填で対応する設計になっている。

送出機関への外国人本人負担金は月給2か月分が上限とされ、超過分は受入れ機関または監理支援機関が負担する。これは技能実習で最大の問題だった「来日前の高額借金」への直接的な対応である。

3-3. 施行までのスケジュール(確定済み)

時期 内容
2024年6月21日 改正法公布
2025年3月11日 基本方針を閣議決定
2025年9月30日 主務省令公布
2025年10月1日 政令公布
2026年1月23日 分野別運用方針を閣議決定
2026年4月15日 監理支援機関の許可の施行日前申請 受付開始(外国人技能実習機構)(2026-08-25 相互照合で修正。旧記載は「育成就労計画認定」と取り違えていた。出典:出入国在留管理庁「施行日前申請」https://www.moj.go.jp/isa/03_00174.html =「令和8年4月15日から監理支援機関の許可、同年9月1日から育成就労計画の認定に係る施行日前申請を外国人技能実習機構で受け付けることを予定しています」)
2026年9月1日 育成就労計画の認定の施行日前申請 受付開始(同上。順序も理にかなう ── 監理支援機関が許可されていなければ育成就労計画は認定できない)
2027年4月1日 改正法施行・運用開始

3-4. 経過措置 誤解が多い

フィリピンは技能実習で42,289人(2025年末)が在留しており、この経過措置の影響を直接受ける規模である。


4. 特定技能

4-1. 全体(速報値)

出入国在留管理庁「特定技能在留外国人数(令和7年12月末)のポイント」(2026年3月公表)より。

区分 2025年12月末 2025年6月末 増加率
全体 390,296人 336,196人 +16.1%
特定技能1号 382,341人 333,123人 +14.8%
特定技能2号 7,955人 3,073人 +158.9%

受入れ見込数は 805,700人(令和11年3月までの累計上限。令和8年〈2026年〉1月23日閣議決定)。2026年3月末時点の1号在留者数は 404,527人、充足率 50.2%(同庁速報値)。

「受入れ見込数」は目標ではなく上限である。「日本は80万人の外国人労働者を呼ぶ」という報じられ方をすることがあるが、これは分野別の受入れキャップの合計である。

4-2. 国籍別(特定技能1号・2025年12月末)

順位 国籍 人数 構成比
1 ベトナム 158,497 41.5%
2 インドネシア 86,523 22.6%
3 ミャンマー 44,315 11.6%
4 フィリピン 35,521 9.3%
5 中国 21,418 5.6%

4-3. フィリピンが強い分野 — シェアで見ると景色が変わる

同資料 第1表より。フィリピン人の1号在留者を分野別に見ると、絶対数より「その分野に占めるフィリピンの比率」が異様に高い分野がある

分野 フィリピン 分野全体 フィリピンのシェア
造船・舶用工業 6,028 11,204 53.8%
航空 1,001 2,260 44.3%
自動車整備 1,302 4,560 28.6%
介護 5,704 67,871 8.4%
建設 5,635 49,323 11.4%
工業製品製造業 5,615 56,736 9.9%
飲食料品製造業 3,769 93,393 4.0%
農業 3,496 37,952 9.2%
外食業 2,279 43,869 5.2%
ビルクリーニング 562 8,395 6.7%
宿泊 101 1,968 5.1%
漁業 17 4,590 0.4%

造船・舶用工業ではフィリピンが過半を占める。フィリピンには造船・船員の産業基盤と英語による技術教育の蓄積があり、これが日本側の需要と噛み合っている。航空(グランドハンドリング・整備)も同様。「フィリピン=介護」というステレオタイプは、特定技能に限れば正確ではない。

4-4. フィリピン独自の手続き — 知らないと止まる

出入国在留管理庁「フィリピンに関する情報」より。


5. EPA看護師・介護福祉士候補者

5-1. 枠組み

日・フィリピンEPA(JPEPA、平成18年9月9日署名/平成20年12月11日発効)に基づき、平成21年度(2009年度)から受入れ開始。実施機関は 公益社団法人 国際厚生事業団(JICWELS)

厚生労働省は「候補者の受入れは、看護・介護分野の労働力不足への対応ではなく、二国間の経済活動の連携の強化の観点から、EPAに基づき公的な枠組で特例的に行うもの」と明記している。 ここを外すと制度趣旨の説明を誤る。

項目 看護師候補者 介護福祉士候補者
応募要件(フィリピン) フィリピンの看護師資格+実務経験3年 4年制大学卒+比政府の介護士認定、または比の看護学校(学士・4年)卒
在留資格 特定活動 特定活動
在留期間の上限 3年 4年
国家試験の受験機会 3回 原則1回(4年目)
年間受入れ最大人数 200人/年 300人/年

5-2. 受入れ実績(フィリピン・累計)

厚生労働省資料(2026年時点公表)より。

区分 フィリピン累計 R7年度(2025年度)入国 3国合計
看護師候補者 714人 19人 1,788人
介護福祉士候補者 3,341人 199人 8,846人

3国(インドネシア・フィリピン・ベトナム)合計の累計受入れは 10,000人超(厚生労働省、2026年7月時点)。 受入れ枠(看護200/介護300)に対して実績は大きく下回っている。フィリピンの介護候補者はピーク時(平成29〜令和元年度)の282〜285人から、R7年度は199人へ減少。特定技能・技能実習という代替ルートが整備されたことが背景にある。

5-3. 滞在延長の特例

政府は平成23年以降、外交上の配慮の観点から、一定条件を満たす不合格候補者に1年間の滞在延長を繰り返し認めてきた(直近は令和7年〈2025年〉2月18日閣議決定。対象はフィリピン人看護師・介護福祉士候補者 第14陣・第15陣)。条件には「前年度の国家試験の得点が一定水準以上」「受入機関による研修改善計画の作成」等が含まれる。

インドネシアだけ制度が変わった。令和8年(2026年)8月の改正日尼EPA発効等により、インドネシアは看護・介護とも在留期間上限が5年に延長され、滞在延長は行わない扱いとなった。フィリピンは従来どおり3年/4年+特例延長である。「EPAは3か国同じ」と書くと2026年時点では誤りになる。

5-4. 国家試験

第115回看護師国家試験(2026年実施・厚生労働省公表)の全体は、受験者10,244人・合格者9,380人前後で合格率91.6%(新卒94.7%)。 EPA候補者に限った受験者数・合格率は、本稿の調査時点では厚生労働省の公表ページから確認できなかった(未確認)。EPA候補者の合格率は日本語の壁により全体を大きく下回るとしばしば論じられるが、具体的な数値を引く際は必ず厚生労働省の試験ごとの公表資料(EPA別集計)で裏を取ること。


6. JFC(日系フィリピン人/Japanese-Filipino Children)と国籍

6-1. 2つの「JFC」を区別する

日本語で「日系フィリピン人」と言うとき、まったく別の2つの集団が混在している。

呼称 内容
戦前・戦中期の日系人 1900年代前半、ダバオの麻栽培等で移住した日本人と現地女性の子孫。戦後の混乱で戸籍・出生記録を失い、日本国籍を確認できないまま無国籍状態に置かれた人々が存在。就籍許可申立てによる国籍回復が続けられてきた。
JFC(Japanese-Filipino Children) 1980年代以降、興行・飲食業などで来日したフィリピン人女性と日本人男性の間に生まれた子ども。NPO法人JFCネットワークの定義では「日本人とフィリピン人の間に生まれた子どもたち」。

「無国籍問題」は主に前者、「認知・扶養料・国籍取得」は主に後者の論点である。混ぜて書くと不正確になる。

6-2. 国籍法3条による届出国籍取得

法務省の説明によれば、認知された子が届出により日本国籍を取得するには次の要件を満たす必要がある。

  1. 届出の時に 18歳未満であること
  2. 認知した父が、子の出生の時に日本国民であったこと
  3. 認知した父が、届出の時に日本国民であること(死亡している場合は死亡時に日本国民であったこと)
  4. 日本国民であった者でないこと

平成20年(2008年)の最高裁違憲判決を受けた改正(平成21年1月1日施行)により、「出生後に日本人に認知されていれば、父母が結婚していない場合にも届出によって日本国籍を取得できる」ようになった。これがJFCにとって決定的な転換点だった。

「20歳未満」は古い数字。成年年齢引下げに伴い、現在は 18歳未満である。ネット上には20歳未満と書かれた記事が残っている。

6-3. 残る課題(JFCネットワーク)

同団体は1994年前後から活動し、東京事務所(新宿区、03-6276-1522)を拠点に、国籍法学習会・スタディツアー・調査研究・政策提言を行っている。


7. 国際結婚と離婚 — 数字は「ピーク時の1/5」

厚生労働省「人口動態統計(確定数)」上巻 第9-18表・第10-13表より。

7-1. 婚姻件数(日本人配偶者との組合せ)

夫日本×妻フィリピン 妻日本×夫フィリピン 参考:夫妻の一方が外国 総数
1995 7,188 162 27,727
2000 7,519 279 36,263
2005 10,242 261 41,481
2006(ピーク) 12,150 292 44,701
2010 5,212 270 30,207
2013 3,118 286 21,489
2015 3,072 344 20,984
2019 3,666 332 21,919
2020 1,955 255 15,452
2022 2,355 280 17,685
2023 2,748 238 18,475
2024 2,460 246 18,420

2006年の12,150件が明確なピーク。2005年の米国務省「人身取引報告書」を契機とする興行ビザの厳格化以降、2010年には5,212件へ半減し、現在は2,460件(ピーク比 約20%)。「日本人男性とフィリピン人女性の国際結婚が多い」という言説は2000年代半ばまでの話であり、2024年時点では中国(3,287件)に次ぐ2位に後退している。

7-2. 離婚件数(2024年)

組合せ 件数
夫日本×妻フィリピン 1,567
妻日本×夫フィリピン 116
参考:夫妻の一方が外国 総数 8,467
参考:夫日本×妻中国 1,766

同年の婚姻2,460件に対し離婚1,567件。 これは「同じカップルの離婚率」ではない(分母となる既存婚姻ストックが婚姻ピーク期に形成されているため)。単純比較はできないが、ストックとして離婚が高水準で発生し続けていることは読み取れる。離婚後の在留資格(日本人の配偶者等 → 定住者への変更)が実務上の最大の争点になる。

参考:2006年は婚姻12,150件・離婚4,065件、2015年は婚姻3,072件・離婚3,200件(離婚が婚姻を上回った年)。


8. 在日コミュニティ・教会・支援ネットワーク


9. 日本語教育と支援制度

フィリピン人労働者は英語が通じる比率が高いため、現場では「英語で足りる」と判断され日本語教育が後回しになりがちだが、特定技能2号・介護福祉士国家試験・永住申請といった上位ステップはすべて日本語が壁になる。


10. MWO東京の役割

Migrant Workers Office (MWO) – Tokyo(旧POLO:Philippine Overseas Labor Office)は、フィリピン移住労働者省(DMW)の在外出先機関。

項目 内容
位置づけ 駐日フィリピン大使館の附属機関
管轄 19都道県(北海道・青森・岩手・宮城…東京・神奈川…沖縄を含む)。残りはMWO大阪が管轄
主要業務 ①雇用主・求人の認証(accreditation)②雇用契約の認証(contract verification)③OWWA(海外労働者福祉庁)会員手続 ④労働紛争・相談対応 ⑤興行(Overseas Performing Artist)関係手続のオンライン処理
最近の告知 最低賃金遵守に関するアドバイザリー、エンターテイナー雇用手続、LIKHA Global 2026(起業プラン競技)等

実務上の要点:フィリピン人を海外で雇用する場合、フィリピン側は「雇用契約がMWOで認証されていること」を前提に出国を管理する。日本の在留資格が下りても、MWO手続と OEC(Overseas Employment Certificate) がなければ本人が出国できない、という事態が起こりうる。 日本側の受入れ機関がここを軽視して採用スケジュールが崩れる例は多い。


11. 送金と手数料

11-1. 日本発の送金額(フィリピン中央銀行 BSP)

BSP「Overseas Filipinos' Cash Remittances by Country of Origin」より(単位:百万米ドル)。

2023 2024 2025p
米国 13,710 14,014 14,146
シンガポール 2,364 2,481 2,584
サウジアラビア 2,060 2,219 2,343
日本 1,685 1,707 1,786
UAE 1,425 1,521 1,637
世界計 33,491 34,493 35,634

11-2. 手数料と規制


12. 知らないと間違える点まとめ

# よくある誤解 正しい理解
1 在日フィリピン人は「3位」/「4位」 在留人口では4位(356,579人・2025年末)、雇用者数では3位(260,869人・2025年10月末)。指標が違う
2 フィリピン人=新しい外国人労働者 永住+定住+日本人配偶者で65.6%。すでに定住フェーズの国籍
3 東京が最大の集住地 愛知県が最多(48,708人・13.7%)。東海の製造業ベルトに集中
4 フィリピン人=介護 特定技能では造船・舶用工業で53.8%、航空で44.3%のシェア
5 育成就労で自由に転職できる 転籍制限期間+技能・日本語試験+同一業務区分+人数枠の4条件
6 育成就労は2027年から全員切替 施行時に技能実習中の人は技能実習を継続。育成就労へは移行しない
7 EPAは3か国同じ条件 インドネシアのみ2026年8月から上限5年。フィリピンは3年/4年+特例延長
8 EPAは介護人材確保策 厚労省は「労働力不足への対応ではない」と明記。二国間連携の特例枠組み
9 国籍法3条は「20歳未満」 現在は 18歳未満(成年年齢引下げ後)
10 日比国際結婚は今も多い 2006年12,150件がピーク。2024年は2,460件(約1/5)で中国に次ぐ2位
11 日本の在留資格が出れば来日できる フィリピン側のMWO契約認証・OECが別途必要。入管に提出は不要でも出国できない
12 日本は世界4位の送金元 BSPの国別表では4位だが、送金元銀行所在国ベース。居住国別ではない
13 特定技能の受入れ見込数80万人は目標 上限(キャップ)である

13. 主要出典

資料 発行 時点
令和7年末現在における在留外国人数について(公表資料PDF・Excel) 出入国在留管理庁 2025年末
「外国人雇用状況」の届出状況(概要版・本文・別表一覧) 厚生労働省 2025年10月末
育成就労制度の概要(令和8年7月改訂)/育成就労制度Q&A 出入国在留管理庁 2026年7月
特定技能在留外国人数(令和7年12月末)のポイント/第1〜3表 出入国在留管理庁 2025年12月末
特定技能1号の受入れ見込数及び在留者数について 出入国在留管理庁 2026年3月末
フィリピンに関する情報(特定技能)/二国間の協力覚書 出入国在留管理庁 2026年
経済連携協定に基づく外国人看護師・介護福祉士候補者の受入れについて 厚生労働省 2026年
EPA候補者の滞在期間の延長について(閣議決定) 内閣 2025年2月18日
人口動態統計 上巻 第9-18表/第10-13表 厚生労働省(e-Stat) 2024年確定数
国籍法に関するQ&A 法務省
Overseas Filipinos' Cash Remittances by Country of Origin Bangko Sentral ng Pilipinas 2026年上半期まで
資金移動業者登録一覧 金融庁 2026年7月31日現在
MWO-Tokyo 公式サイト/駐日フィリピン共和国大使館 公式サイト DMW/DFA 2026年
JFCネットワーク 公式サイト/カトリック東京国際センター(CTIC) 各団体 2026年

本稿の数値のうち、特定技能在留外国人数と「特定技能1号の受入れ見込数及び在留者数」は速報値。在留外国人統計・人口動態統計・外国人雇用状況の届出は確定公表値。BSP送金額の2025年は p(暫定値) である。引用時は必ず区別すること。

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